2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of Stratosphere-Troposphere interaction through the stratospheric general circulation
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25340010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 菜穂 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (50378907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 久洋 福岡大学, 理学部, 講師 (20469620)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 成層圏対流圏間力学結合 / 熱帯対流圏界面遷移層 / 成層圏突然昇温 / 積雲対流 / 中間圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年初冬に熱帯域の積雲対流活動が不活発になる事例を発見し、その要因を解析し、投稿論文にとしてまとめた [Kodera et al., ACP, 2017]。この現象は、成層圏の亜熱帯ジェットが例年よりも強化され、その結果、成層圏内の南北循環場の熱帯での上昇流が弱められ、熱帯対流圏界面遷移層内の不安定度が弱まり、結果的に背の高い積雲対流活動が抑制されたと考えられる。本結果は、前年度まで議論してきた成層圏循環場の強化によって、熱帯の積雲対流活動が活発になる過程 [Eguchi et al., ACP, 2015] と真逆のプロセスとなっていることから、成層圏の力学過程が熱帯域の積雲対流活動に影響を与えていることがより明らかとなった。 また上述の2011年初冬の現象の発展として、成層圏の亜熱帯ジェットが強化された要因が、中間圏の亜熱帯ジェットと極夜ジェットの平均流の相互作用によることが明らかになりつつある。本解析では、中間圏の風のデータを衛星観測から得られたジオポテンシャル高度データより、地衡風近似を用いて導出し、解析に用いている。解析期間は衛星観測データのある2006年~2015年の11年間である。これまで中間圏の風を観測から得ることは難しく、それを対象とした研究はほとんど為されていないことから、中間圏の風の場の気候学的な特徴 (季節変化や赤道域における南北両半球間の風の場の変化等) の記述も行うと同時に、2011年の冬の中間圏、成層圏の風の場の急変の要因の解析を進めている。 上記の内容を国際学会で発表し、投稿論文にまとめている段階である。
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