2015 Fiscal Year Annual Research Report
広域測定網における大気汚染測定フィルターの再利用による光学的黒色炭素粒子の測定
Project/Area Number |
25340022
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
松本 利恵 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 担当部長 (60415370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 直人 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00190869)
野口 泉 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境地質研究本部 環境科学研究センター, 研究主幹 (10442617)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 黒色炭素粒子 / 広域観測網 / 光学的測定法 / フィルターパック法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新たな機材や多くの労力を使わずに、全国の黒色炭素粒子(ブラックカーボン)濃度の地域的特徴および季節変動などを明らかにすることを目的とした。環境省と全国の地方自治体の環境研究所で構成されている広域観測網で用いられた分析済の大気汚染測定フィルターを測定試料として再利用し、光学的測定法(積分球式光学的黒色炭素粒子測定法)により黒色炭素粒子の濃度測定を実施した。 濃度測定は、全国17地点(利尻、札幌、天塩、母子里、摩周、加須、市原、佐倉、名古屋、射水、香北、隠岐、蟠竜湖、海南、大宰府、大里、辺戸岬)で実施した。1週間または2週間単位でフィルターパック法による水溶性の粒子およびガスの大気濃度の通年測定を行い、イオン成分濃度分析のために水抽出した後の粒子捕集用PTFEフィルターを各機関より収集し、積分球式光学的黒色炭素粒子測定法により黒色炭素粒子濃度を測定した。また、札幌、加須、名古屋の3調査地点においては、並行して粒子を石英ろ紙に捕集し熱分離・光学補正法による炭素分析を行い、その測定結果との比較から積分球式光学的黒色炭素粒子測定法の精度の検証を実施した。 平成27年度は、各地点で濃度測定を実施したほか、研究分担者、研究協力者と打ち合わせ会議を開き、本研究に関する情報交換、測定結果から黒色炭素粒子濃度の地域的特徴および季節変動や測定法の精度についての検討、今後の解析方針についての確認などを行った。また、学会等において成果発表を行うとともに関連する情報の収集を行った。 調査の結果、熱分離・光学補正法との比較により、積分球式光学的黒色炭素粒子測定法が有効であることを確認した。また黒色炭素粒子濃度は、都市部またはその近郊では周囲の発生源の影響が大きかった。特に、関東地方の測定地点では、秋~初冬に他の地域に比べて高濃度になり、大気安定度などの気象要因とバイオマス燃焼の影響が原因と考えられた。
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Research Products
(1 results)