2013 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷を簡易に検出する新規蛍光プローブの合成と環境および生体試料への応用
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25340038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高村 岳樹 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (50342910)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境変異原 / DNA付加体 |
Research Abstract |
環境化学物質のDNA損傷活性を検出するプローブを作成する目的で,デオキシグアノシンの5’位にBODIPYを結合した化合物(BODIPY-dG)を合成し,その活性検出方法の検討を行った。このプローブはメタンスルホン酸や,エピクロロヒドリンなどのDNAアルキル化剤に対して活性を示すことが明らかとなった。これらのアルキル化剤がない場合は蛍光が減弱されているが,アルキル化剤が共存することにより強い蛍光を示すことがわかった。しかしながら,この蛍光プローブは酸に対して不安定であり,酸との共存で時間経過とともに分解し蛍光回復することがわかった。そのため,酸に対してもある程度の強度を示すプローブの合成を行うこととした。これにはグアニン塩基の9位にメトキシエタノール基を結合したアシクロビルを用い,そのエタノール残基に蛍光物質であるBODIPY-FLを結合させたものを用いることとした。目的とする化合物はその溶解性の低さから,デオキシグアノシンの場合に行った環外アミノ基のフェノキシアセチル保護ではカップリング反応が進行しなかった。そのため,アシクロビルの水酸基を一度シリル保護をした後,N2位のアミノ基をトリチル保護を行い,さらに脱シリル化を行った後,BODIPY-FLを結合させ,更に脱トリチル化反応により,目的物を得ることができた。得られた化合物は,先のアルキル化剤に対してもBODIPY-dGと同様の活性を示すことが明らかとなった。得られた化合物について蛍光検出の速度論的な解析を行うとともに,アルキル化剤の検出試薬として知られているニトロベンジルピリジンとの比較についても今後行う予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BODIPY-dGとともに,比較化合物であるアシクロビルのBODIPY修飾体についても合成に成功した。両者の化合物については,いずれもアルキル化剤について同程度の活性でもって蛍光検出できることが明らかとなった。このことにより,本研究の目的である,より自己分解しにくい蛍光プローブの合成を行うことが可能となった。また,DNA鎖切断を検出するプローブについても,その合成ルートの検討がすみ,現時点では,大量合成を行う準備段階ができたといって良い。そのため,現在の計画は順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるBODIPY誘導体の合成を進める。まずBODIPYの8位に結合しているフェニル基のパラ位にカルボキシエチル基を導入し,それをアシクロビルの水酸基に導入した化合物の合成を行う。BODIPY骨格の合成は既報に従う。この時,原料のアルデヒド誘導体の合成が律速段階となるが,これも既報に従い合成を行う。得られたBODIPY誘導体について,グアニン誘導体とのカップリング反応を進めるが,これは昨年度と同様に反応を進める。この反応は約6ヶ月程度の合成期間を必要とする。得られる化合物は新規化合物であるが,それぞれの段階では既存の合成方法があるため,特に困難な点は存在しないと考えられる。また一方でBODIPY修飾デオキシシチジンを合成し,さらにこれをアミダイト化し,オリゴ合成をおこなう。BODIPY修飾デオキシシチジンの保護基として,ベンゾイル基を選択し合成を進めていく。検討段階のスモールスケールの合成では,5位の水酸基のトリチル化が極めて困難であることがわかっているので,その解決に全力を注ぐ。本年度でアミダイトの合成に注力しそれを用いたオリゴヌクレオチドを合成する。すでに類似構造のBODIPY修飾ウリジンに関しては,オリゴ合成の方法が確立しており,本合成においてはそれを参考に行う。得られたアミダイトは次年度以降にいくつかの塩基配列を有するオリゴヌクレオチドへと合成する。
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Research Products
(4 results)