2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25340083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
狩野 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00272857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 洋 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80126391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物吸着 / 重金属 / バイオマス / アルギン酸 / アルギン酸ゲル / 木炭 / バイオ界面活性剤 |
Research Abstract |
環境に低負荷で低コストであるバイオマスをベースにした吸着剤を用いて,重金属や放射性核種など汚染物質を除去・回収する手法を確立して環境浄化に役立てることを目的とする。また,吸着・除去法とは別に,同様の目的で,植物を利用した環境浄化についても検討した。 本年度は,バイオマスとして,海藻由来のアルギン酸(およびゲル化した試料),新潟県阿賀町特有の雪椿の木炭(および硝酸で酸化処理を施した試料)を用いて,ウラン(U)等の放射性核種や重金属の吸着モデル実験を行った。また,2種のキレート剤(EDTA, EDDS)を層間挿入したハイドロタルサイト(LDH)を合成し,これらの物質を用いて重金属の除去実験を行った。さらに,環境中の重金属や放射性核種の動態把握のため,スラッジ中の重金属の挙動把握に関する研究を継続するとともに,植物,キレート剤やバイオ界面活性剤を用いて,重金属の効率的な回収方法を目指した。上記と並行して, 湖沼中の汚染物質の動態についての定期的な調査も継続して行った。 その結果,主として以下のことが明らかになった。(1)アルギン酸を用いたU吸着は,ゲル化により除去率が増加した。加工性の向上により,吸着能力が上がったと推察される。(2)硝酸処理を施して新たな官能基の導入を行った試料は,未処理の炭に比べて良好な金属除去率を示した。(3)EDTA-LDHおよびEDDS-LDHは,LDH単独よりも,良好なCu, Pb除去率を示した。(4)バイオ界面活性剤の種類,加え方(量と回数)により,根と茎の鉛濃度のみならず根から茎への移動のしやすさが異なる。(5)バイオ界面活性剤のうち,サポニンは,スラッジからの重金属除去に効果的であった。(6)中国のスラッジ中の重金属濃度は,日本のスラッジ中に比べて一般に高い。(7)新潟県内の湖沼は中国のジャロン湿地に比べると富栄養化の進行は小さい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな吸着剤として,(1)アルギン酸をゲル化した試料,(2)新潟県阿賀町特有の炭である雪椿の炭に硝酸等で酸化処理を施すことにより,新たな官能基の導入を行った試料,(3)無機イオン交換体(ハイドロタルサイト)に2種類キレート剤(EDTA, EDDS)を層間挿入した試料を創製し,それらの特性評価を行うとともに,これらの試料を吸着剤として,ウラン(U)などの放射性核種や重金属の取り込みや吸着に関するモデル実験を行い,一定の成果が得られているので,当初の予定通り概ね順調に進展しているといえる。これらの成果は,国内外の学会に加え,学術雑誌で誌上発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で得られた知見に基づき,吸着剤の加工性をさらに向上させる手法を検討する。具体的には,バイオマスを利用した新たな有機―無機ハイブリッドナノ材料の作成を行う予定である。これにより,さらに効果的な重金属の回収法を構築して,排水試料等の実試料における金属の除去・回収に向けての応用へとつなげる方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を検討していた振とう機(タイテック社 プラスシェーカー EP-1)については,今年度は旧式の現有のものでまかなったこと,旅費も当初予定よりも若干かからなかったこともあり,当該当該未使用額が生じた。 次年度は,平成25年度で得られた知見に基づき,データを整理しながら,さらに発展させた内容で研究を行い,社会に広く発信することを視野に入れている。このため,物品は,今年度購入したものが使えるため使用額が減るものの,旅費・人件費(謝金)の使用額が上がると予想される。
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