2014 Fiscal Year Research-status Report
バイオガスハイドレートによるエネルギー循環型下水処理場へのCGS導入効果
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25340118
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 貴延 北見工業大学, 工学部, 教授 (90174721)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハイドレート生成 / バイオガス / 生成促進効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの2年目となる平成26年度においては,とくにガスハイドレートの生成促進に焦点を当てて,種々の実験を試みた.前年度の結果からは各ゲストガスと氷をホスト物質とするハイドレート形成条件において,圧力・温度平衡曲線でのハイドレート安定存在要件となる低温高圧領域での作成をもっぱら行っていた.しかし,生成時間として24時間に近くなるような極めて長時間を要する事例が散見されるところとなり,最終的な実用化を目指す目標を達成するにはさらなる作成法の模索が必要となることがわかった.この年度ではガス-砕氷面間の境界面に初めに形成されたハイドレート膜を破砕する目的で,新たに生成を行う圧力容器を回転させ,内部に破砕用撹拌バーを設置し,内部での新たな砕氷面が常にゲストガスに接して定常的にハイドレート生成が行えるかどうかの確認を行ってみた.そのため,約800ccの内容積を有する比較的大き目のハイドレート生成圧力容器を試作し上記の実験を実施した.しかし,実際にはこのような生成状況下では,結果的に生成促進効果は認められずむしろ小型の生成圧力容器で得た結果の方が生成速度が高いことが確かめられた.そのため,生成容器内のホスト物質となる砕氷には外部からの変化を与えないようにした静止空間での作成に立ち戻り,別の容器を用いて容器サイズの影響および初期設定温度等の基本条件での検討を改めて行うこととした.以上のことから,最終的に目的としている,コジェネレーション設備の1つとして組み込みを考えた場合,ハイドレート生成装置としては非常にシンプルな構造を提案する方針でハイドレート生成速度の最速化を図ることとした.なお,当年度ではとくに与えた圧力に対する圧力容器内外の各部温度条件を正確にかつ多点で実測する必要がさらに増したため,年度途中で温度データロガーを追加購入して,この目的を達している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に基本的に必要な計測器を揃えられたことで,当初予定している各種の正確な温度データを取得することができているため,ハイドレート生成性能の良否を左右する条件の突き合わせが順調に行えている. ただし,ハイドレート自体の熱伝導性については計測時の温度条件の安定化に苦慮しており,再度試みていきたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように,おおよそ計画通りに研究が進行しているが,ハイドレート生成速度の最速化は今後もまだ可能ではないかと思われ,引き続き次年度前半では最も安定かつ最速の生成速度条件を模索していきたいと考えている.これに並行して,さらに今年度は最終年度のため,取得したデータを元に下水処理施設でコジェネレーション構成の最適化に寄与できるハイドレート生成・貯蔵システムの諸条件を明らかにしてきたいと考えている.これによってハイドレート化に伴う所要エネルギーの推定が可能となり,下水処理施設での高効率なコジェネレーションシステムの構成方法が明らかにできるものと考えている.
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