2014 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の生活の質向上を目指した「ヘアハット」の設計理論構築に関する調査研究
Project/Area Number |
25350036
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
見寺 貞子 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (10268576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん患者 / 脱毛 / 帽子 / Wigs(かつら) / 快適な衣生活 / UD |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、本研究の基礎資料として「ガン患者に配慮したヘアハットに関するアンケート調査」及びヒアリング調査を関西在住の女性31名を対象として実施した。 抗がん剤治療を受けた人は、29名の内、脱毛した人は27名、現在治療中の人は12名であった。治療を受けた季節は、冬と夏が多く、夏への対応が必要であると思われた。抗がん剤治療を受けてつらかったことは、身体がだるい、外見が変わる、人目が気になる、の意見が多かった。治療中、癒しになったことは、家族や友人とのメールや会話、がん患者会への参加、音楽、読書、笑う事であった。 頭部を覆う行為は、がん患者の脱毛時期になされている事が多く、日常生活の場面により、「がん患者用の帽子」「一般に市販されている帽子」「ウィッグ(かつら)」等、選択し着用していた。「がん患者用帽子で自身が購入したい商品はあるか」の問いに「少ない」と答えた人が半数以上で、デザイン性(色、素材、形状)と機能性(吸湿性、速乾性)、適正価格が求められていた。 また、関西在住の女性31名を対象とし着用評価を実施した。内、16名に対し、頭部にフィットする楕円形の帽子を、5種類の快適性に優れた素材を厳選して制作し、2時間かけて着用、その際の頭部の温度と湿度を測定した。結果、それぞれの温度と湿度は、どの素材も快適の範囲に入り、差異はほとんど見受けられなかった。その原因は、調査の時期、調査時間、素材の選択等が関与しているのではないかと考えられる。今後は、更に詳細な資料を分析、考察する予定である。 今回の調査を基礎資料として、がん患者に配慮したヘアハットの試作を行い、今後、着用評価を実施ながら製品化を目指していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・がん患者に対してアンケート及びヒアリング調査と着用評価を実施できた。 ・がん患者の帽子に対する課題と要望が明らかになった。 ・26年度の調査資料を基礎として、がん患者に配慮したヘアハットを試作し、評価実験をさらに進めていくことが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、26年度の調査資料を基礎として、がん患者に配慮したヘアハットを再度、試作し、評価実験を進めていく。 特に要望のあった、夏期、素材、形体、脱毛時期、快適性、ファッション性をキーワードとし、アンケート及びヒアリング調査と着用評価を実施し、実用化できるヘアハットの開発を目指す。
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