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2014 Fiscal Year Research-status Report

ネットワーク分析を用いた生活機能維持困難地域の測定手法の開発

Research Project

Project/Area Number 25350058
Research InstitutionChiba University of Commerce

Principal Investigator

平原 隆史  千葉商科大学, 政策情報学部, 教授 (30438915)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords少子高齢社会 / 交通支援 / 地域環境 / 生活行動評価 / 社会ネットワーク / コミュニティ / 政策評価
Outline of Annual Research Achievements

研究計画においては平成26年度は、地方における各種生活インフラへの接続可能性、すなわち地域住民の交通権の維持状況を調査した。研究計画では大都市部の調査が平成26年度から27年度での調査としていたが、同様に27年度に調査する予定の東日本大震災の被災地調査を26年度に繰り上げて、地方での各種生活インフラへの交通機関の確保に関して調査した。また現状として、多くの地方生活者は自家用車を保有し、これを通勤や買い物などに活かしており、こうした自家用車を何らかの形で利用できない層への地域交通の提供状況を調査した。とりわけ自治体におけるデマンド交通での利用状況、予算などについて各地方自治体を訪問しインタビューとデータ提供をしてもらった。
訪問した自治体は、鳥取県伯耆町、島根県松江市、高知県香美市・四万十市、愛媛県内子町、岩手県陸前高田市、さらに東北の震災地域全体状況に関して国土交通省東北陸運局を訪問し、利用実態や地域状況に関してインタビューを行い、デマンド交通の利用実績、地域別の人口構成などの提供を受けた。これ以外にも、訪問地周辺の中核都市も訪問し、こうした周辺地域と中核都市の関係も観察した。
この結果、平成25年度調査と併せて、一つの地域デマンド交通利用の共通性をつかむことが出来た。こうした交通では利用者層・乗車目的が地域に関わらず共通していて、交通利用に1つのアルゴリズムが存在することが明らかになった。つまり地方自治体の供給するデマンド交通はバスやタクシーなど形態問わず高齢者女性の通院・買い物目的が全体の大半を占めることがはっきりした。ただし、地域によって細かい要求の違いがあり、これが地域社会・経済・環境に影響すると予測できる。
この結果を元に平成27年度の大都市部の調査と併せて、地域の生活機能維持の要因と指標を何らかの形で示していこうと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年度の研究概要でも書いたとおり、まず研究計画の順序を入れ替え、地方での生活機能維持に関する状況について調査した。この調査の中で、研究の領域を自家用車非所有層への交通支援への取り組みを評価することで、地域の生活機能に関わるインフラ(商店・病院・学校など)へのアクセスの容易さを評価する一指標となりうるのではないかと考えた。このため平成25年度での和歌山などの調査に加えて、中国・四国・東北の各地方を訪問し、地域住民向けのデマンド交通の実施状況を調査することで、利用に関する実態の特徴を抽出することが出来た。
この調査の結果、デマンド交通の利用者は後期高齢者の女性が大半(概ね80%前後)、利用目的は病院への通院と買い物がほとんどということが明らかになり、こうしたデマンド交通が地域の生活機能維持に重要な役割を果たしていることが明確になった。
この結果は同時に、生活機能の維持に別の課題をもたらすことも明らかになった。まず、こうした交通の提供が地方財政に負担になること、交通機関の利用は地区人口に影響を及ぼすケースがあることなどが示された。このどちらのケースとも地域に影響をもたらすことは明らかである。しかし、交通機関提供から発生する問題ではないので、この地域の特性を評価する必要がある。これを平成27年度の交通機関が比較的充実していると考えられる大都市部で調査を行うことで、ある程度地域特性の評価を踏まえた研究に進展すると予測できる。
また各自治体からデマンド交通や詳細な地区別社会指標データを入手したものを、一部地域のみで試行的に所属研究機関の学術誌から論文として刊行し、和歌山の例も環境経済・政策学会で発表を行った。これをベースに、平成27年度では他地域との比較を明確にしながら、地域の生活機能維持の状況を評価する指標やメカニズムについて、学会発表や論文の刊行に繋げていく予定である。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度においては、平成26年度までの各地方での調査によって明確になった問題点を整理して、生活機能維持に関して地域が持つ特性を明確にするために、大都市部での調査を行おうと思う。特に地方での交通支援は生活機能維持に用いられていることが明らかになり、地域での交通機関や生活に関わるインフラが充実している大都市部では実情が異なると予測できる。
そこで、交通に関わる充実度(鉄道網、道路網など)と買い物や通院などの充実度(例えば、シャッター通り化している商店街など)から地域の属性を分けて、調査対象を選び、こうした地域での生活機能の特性を明確にし、地域の社会・経済指標と併せて、生活機能維持に関わる地域の特性・指標を明らかにしていこうと考えている。
そこで年度の前半では、各地方の調査で得られたデータを元に比較研究を行い関連学会で発表と論文の公表を行い、同時に大都市部での調査を実行する。後半では、大都市部の調査をまとめて所期の研究目的である地域での生活機能維持のためのメカニズムの解明とその評価手法の開発の試行版を完成させることを目指す。またその結果を時間が許せば、学会発表と論文の公表を同時に行う。
それとは別に、これまでの研究過程を報告書の形でまとめて公表し、平成28年度以降の新たな研究の土台としたい。

Causes of Carryover

一番大きな要因は、研究計画では調査方法を現地で人を使って実地調査する計画を立てていたが、実際に研究を進めると、実際に現地に赴いて観察し、データを収集しインタビューをするだけでも、所期の目的を果たせるような調査方法を確立した部分が大きく、人件費による謝金が必要とならなかったことと、文献購入も平成25年度のもので26年度はかなり役だったことも大きい。また謝金を要する大都市部の調査を27年度にまとめることにしたため、26年度の予算消化が予定より小さくなったことにある。加えて通信費を抑えてきたことが大きい。
しかし平成27年度は調査方法が変わるため調査協力の謝金や研究の進展に伴い新たな文献に費用を必要とする事態が予測できる。結果、予算執行が後ろ倒しになったことが理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成27年度は、大都市部の調査になるため、買い物にかかわる商店など実際の住宅地から歩いて測定したりなど、調査者による実地でのデータ収集が複数人数ないと難しい状況に変わる。そのため予算の多くは謝金(人件費・調査協力費)に用いる。また、研究計画でも論じたが、これまでの地方での調査を投影して調査するため、調査する場所も少なくとも4カ所以上予定しているので、多くはこの費用に用いる。また、研究をまとめて印刷物として公表したいと思っているのでこうした費用に充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 少子高齢社会における公共交通支援ー台湾と和歌山の事例から2015

    • Author(s)
      平原隆史
    • Journal Title

      国府台経済研究

      Volume: 第25巻3号 Pages: 91-117

    • Open Access
  • [Presentation] 地域公共交通システムの存在が地域環境に与える影響2014

    • Author(s)
      平原隆史
    • Organizer
      環境経済・政策学会
    • Place of Presentation
      法政大学多摩キャンパス(東京都町田市)
    • Year and Date
      2014-09-13 – 2014-09-14

URL: 

Published: 2016-05-27  

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