2013 Fiscal Year Research-status Report
グリーンカーテンの高層住宅への適用可能性と生活環境改善効果に関する研究
Project/Area Number |
25350059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
鈴木 弘孝 城西国際大学, 環境学部, 教授 (60370706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリーンカーテン / 体感温熱指標 / 植物生育特性 / 生理的・心理的効果 / 環境負荷低減 |
Research Abstract |
都市住民が身近にできる壁面緑化の手法として、グリーンカーテンが節電対策とも相まって、急速に普及しつつある。本研究は、グリーンカーテンを高層住宅に普及させていく上で、体感指票を用いた温熱環境等の物理的環境と植物の種類、方位、高さの違いによる生育環境への影響について、実証的な検証を行うとともに、植物の香りが都市住民の生理的・心理的な面への効果分析を通じて、過密化した都市市街地においてゆとりと潤いのある生活環境の保全と改善に資することを目的とするものである。 平成25年度は、本学東金キャンパスの教育棟を対象として、グリーンカーテンを設置した場合と設置しない場合における屋内外の温熱環境を比較するため、気温,MRT(平均放射温度),WBGT(湿球黒球温度)などの温熱指標により、物理的環境評価を行った。 計測の結果、屋内気温では、カーテン有りの場合となしの場合を比較すると、酷暑期の8月8日から8月10日の計測値から、有りの場合ではなしの場合と比較して、ピーク時の気温が1.3℃から2.1℃の低減が確認された。 また、MRTについては、全方位から受ける熱放射量を平均化した温度を表しており、カーテン有りの場合はピーク時は30.6℃から32.6℃を示し、なしの場合に比較して、46.1%から46.9%低減していた。これにより、カーテンによる建物表面からの輻射温度の低減効果を確認できた。 WBGTは、熱中症予防の温熱指標として労働環境やスポーツ活動の場で広く使用されている温熱指標である。カーテン有りの場合はピーク時は28.1℃から30.1℃を示し、なしの場合に比較して、1.6℃から2.4℃低減していた。これにより、カーテンによる温熱環境を1段階低減する効果を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,本学東金キャンパスの教育棟を対象として、グリーンカーテンを設置した場合と設置しない場合における屋外の環境を計測し、PMV,WBGT,SET*の温熱指標により、物理的環境評価を行うことを目的として計測を実施した。PMVとSET*について、計測値から導出した結果を現在精査しているところであり、WBGTについてはカーテンの設置の有無による温熱環境改善効果を定量的に評価することができた。また、MRTという放射環境評価指標についても、計測値から導出することができ、定量的に効果を評価することができた。これにより、平成25年度は物理的環境改善効果を客観的に評価することができたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、建物の方位の違いによるグリーンカーテン植物の生育特性把握を把握することを目的として、本学東金キャンパス建物屋上において、グリーンカーテンに使用される代表的な植物種であるゴーヤ、アサガオ等を設置し、東・西・南の各方向にカーテンの面を向け、方位の違いによる各面の日射量の違いが植物の生育状況の及ぼす影響について、継時的に観察し、緑被状況を計測、評価するとともに、植物のの香りによる生理的・心理的効果を定量的に評価することを目的として、本学の東金キャンパスにおける教育棟等において、グリーンカーテンの設置の有無とアロマテラピーに用いる精油を用いて、グリーンカーテンの環境と香りがもたらす生理的・心理的効果について、実地に検証することを計画している。 また、平成27年度には、建物の高さ(5階屋上)の違いによるグリーンカーテン植物の生育特性を把握するため、本学東金キャンパスの建物屋上において、グリーンカーテンに使用される代表的な植物種であるゴーヤ、アサガオ等を設置し、風速等の違いが植物の生育状況の及ぼす影響について、継時的に観察し、緑被状況を計測、評価するとともに、グリーンカーテン設置による生理的・心理的効果について、実地に検証することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ計画通りに執行することができ、執行残額として差額が生じたが、次年度に繰越しを行い、年度計画に沿って執行を進めていく予定である。 平成26年度に行う実験に使用予定の植物調達に活用していく予定である。
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