2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (60101565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 一雄 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80134708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 香辛料 / 唐辛子 / 山椒 / 生姜 / 山葵 / カプサイシン / ストレス / ラット |
Research Abstract |
本研究は、ストレスによる腸管の変調に対して香辛料摂取がどのように作用するかを調べることにより、香辛料の有用性を検討するプロジェクトである。その際、腸管の部位による差、効果の性差があるかについても明らかにする。本年度は、7週齢の雌雄のウイスター系SPFラットを用い、香辛料として唐辛子について実験を行った。 動物をControl群(通常の飼料)とCAP群(局方 唐辛子を飼料に0.5%添加)に分け、両グループに3G重力負荷(毎日10分間のストレス)を負荷した。両グループとも1、3、15、30日間、遠心分離装置でストレス負荷を行った。ストレスの負荷直後、それぞれの日において長さ1cmの回腸、大腸切片を摘出し、タイロード液が入っているマグヌス管に腸切片を固定し、神経伝達物質(アセチルコリン:10-4, 10-5 g/ml :ACh、アドレナリン:10-4 g/ml :、セロトニン:10-4 g/ml: 5-HT)と唐辛子の主成分であるカプサイシン(0.1,1,10,100μM :CAP)の添加に対する回腸、大腸の消化管運動を記録した。 いずれの部位の消化管も自発性の運動が観察された。回腸では、雌はControl群とCAP群ともにACh添加後の収縮は顕しく、それはAdによって拮抗され、群間での差は見られなかった。しかしAd単独の添加では、ストレス3日目でCAP群では有意に消化管運動は減弱された。雄ではストレス3日目でCAP群は0.1μM CAP添加で収縮高が有意に増大した。大腸では、雌は両群に消化管運動の差は見られなかったが、雄ではストレス30日目でCAP群は10μM CAP添加で有意に収縮高が弱められた。 唐辛子摂取は、雌雄ともAChに対する感受性を変えないが、雌ではAdへの感受性、雄ではCAPへの感受性を変えるため、これらの変化にTRPV1受容体の関与が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度にはストレス負荷による腸管運動の変調に対して香辛料がどのような改善効果をもつかを唐辛子摂取について行った。 使用するラットは24日齢を使う予定であったが、確実にデータが得られるであろう成体ラット(7週齢)の雌雄について調べることにした。負荷をするストレスとして、+2Gの3Gの重力ストレスを用いることとした。ストレス負荷期間は当初の予定通り、1、3、15、30日間とした。摘出腸管は消化管の3部位、空腸、回腸、大腸を予定していたが、手持ちの実験装置と時間的な関係から、回腸、大腸の2部位で行うこととした。 上記の条件で、予定していた2つの実験のうちの、実験1ではストレス負荷期間中の唐辛子添加飼料飼養ラットの腸管に神経伝達物質(ACh、Ad、5-HT)ならびに唐辛子の主成分であるカプサイシン添加の効果を記録し、ストレス負荷による消化管変調に対する唐辛子の効果を調べる実験は計画通り遂行できた。 しかし、通常飼料飼養ラットへのストレス負荷の有無による、種々の香辛料の成分(カプサイシン、ジンゲロール、αーサンショウオール、アリルイソチオシアネート等)が腸管運動にどのように作用するかを調べる、実験2の計画が、時間的な問題で25年度は達成できなかった。 上記のような理由で、現在までの達成度はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、25年度で達成できなかった、ストレスの有無による香辛料主成分の腸管標本添加による腸管運動について実験を行う。そして、当初から予定していた、ストレス負荷による腸管運動の変調に対して香辛料がどのような改善効果をもつかを、平成25年度と同様の実験方法で調べる。当初の計画では26年度は飼料への添加香辛料として生姜、山葵を計画していたが、27年度に計画をした山椒を26年度に先に実験を行う。それは山椒の主成分であるα-サンショオールはTRPチャネルのTRPV1およびTRPA1の刺激因子であるので、25年度の唐辛子の主成分のカプサイシンのTRPV1の刺激因子と比較検討するのに適当であると思われるためである。 平成25年度の成果は、欧州生理学会(ブダペスト)で発表予定である。 平成27年度には26年度に計画をしていた生姜、山葵各々を飼料に添加し同様の実験を行うこととする。生姜の主成分ジンゲロールはTRPV1、山葵の主成分アリルイソチオシアネートはTRPA1刺激因子であるため年次計画として実験結果を比較検討するのにこの変更の方が有利である。 ストレス負荷による腸管運動の変調に対して香辛料がどのような改善効果をもつかを、雌雄の成体ラットで行う研究が順調に進展すれば、国際雑誌に投稿をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度においてのところで、記載した通り、初年度の当初の計画を達成するには時間的に無理であった。 その主な理由は、腸管運動を記録するための増幅器のチャネルが1チャネルのものを2台しか持っていなかったため、1回の実験で1匹の動物の回腸部と大腸部の実験しか行えなかった。1匹のデータ記録時間が長いため、計画した匹数の実験時間が長くかかった。25年度にもう一つ計画していた実験2ができなかった。そのため実験2で使用するはずであった費用が残った。 平成26年度には高感度DCアンプ(2チャンネル)と生体用ストレインゲージを購入し、実験時間の効率化を図る。これの購入によって、平成25年度達成できなかった、ストレスの有無による香辛料主成分の腸管標本添加による腸管運動について調べる実験2を行うものとする。翌年度分として請求した助成金は、当初の予定通り26年度に計画していた実験で使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Stress-induced modulation of nociceptive responses in the rat anterior cingulate cortex.2013
Author(s)
Yamashita, H., Zeredo, JL.,Kaida, K.,Kimoto, M.,Asahina, I., Toda, K.
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Journal Title
Journal of Integrative Neuroscience
Volume: 12
Pages: 235-246
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Sex differences in antinociceptive effects induced by gravity stress in rats.2013
Author(s)
Kimoto,M., Zeredo,JL.,, Nihei,Z.,, Yamashita,Y.,Kaida,K,Toda,K.
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Journal Title
Journal of Behavior and Brain Sciences
Volume: 3
Pages: 179-187
DOI
Peer Reviewed
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