2013 Fiscal Year Research-status Report
食行動と食嗜好を規定するグレリン遺伝子多型に於ける、食欲発現機構の疫学解析
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25350177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山田 晃一 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 上級研究員 (00182527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 明美 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (40262638)
饗場 直美 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (50199220)
宮地 元彦 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 部長 (60229870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食行動 / 食欲 / 遺伝子多型 / 食嗜好 / 脳機能 |
Research Abstract |
食欲を亢進するペプチドホルモンのグレリンは、主に胃で産生されるが、視床下部や辺縁系に作用して、食行動、食嗜好を規定する事が動物実験の結果から示唆されている。私達もグレリン遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性(約10%存在)に於いて、食事摂取量、エネルギー摂取量(肥満女性平均の約82%の値で、これは正常体重の女性並み)、脂質、肉類の摂取量などが少ない事から、彼女らが意外にも「小食」で食欲そのものも乏しく、蛋白質や脂質をあまり好まない事を明らかにした。私達は彼女らは、空腹時のグレリン量がやや少ないと予想しているが、実際に少ないのか、また、食べ物の絵や匂いに対する反応性が実際に低いのか等を本研究で解析し、なぜグレリンの遺伝子多型が少数型ホモの肥満女性らは 「小食」なのに肥満しやすいのかを解明したい。 ①少数型ホモの肥満女性の空腹時グレリン量の測定 保存血より、三菱化学ヤトロン社のELISAキットを用いてデス・アシルグレリン量を測定し、+3056T>CのCアリル保持者は、実際に血中グレリン量が少ないという結果を得た。 ②少数型ホモの肥満女性の、食べ物の絵や匂いに対する反応性(食欲)の測定 神奈川工科大のf-NIRS(光トポグラフィ)を用いて、学生等(6名)で予備実験を行った。測定に当たっては頭部全面をプローブで覆う必要は無く、前頭部分にのみ装着すれば測定できるが、反応の微妙な程度差を捉える為には、被験者の空腹の程度を出来るだけ揃える事が重要と考えられる。 ③グレリン+3056T>CがCC型の肥満男性の食嗜好調査 彼らは 「小食」ではなく、特別な肥満傾向も無いが、アルコール摂取量が多い傾向にあり、ビタミンD と魚介類の摂取量が有意に多い。同様の傾向が-1062G>C等でも見られ、グレリンは菓子や酒等の「快楽的」食嗜好を助長すると言われるが、この少数型ホモの男性の「酒好き」はそれと一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グレリンは男性に於いても、食嗜好に影響していることが示唆された。 f-NIRSによる食欲の測定は、前頭部分にプローブをバンダナ状に配置すれば十分に可能である。食べ物の絵や匂いに対する反応の微妙な程度差を捉えるためには、被験者の空腹の程度を出来るだけ揃える必要があり、f-NIRSの装置を国立健康・栄養研究所に運んで、測定することを計画している。 グレリン遺伝子の下流の摂食亢進遺伝子、ニューロペプチドY、アグーチ関連タンパクやオレキシンの多型についても、現在解析を進めており、順調に進展していると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
申請の時点では、f-NIRSの装置を佐久総合病院に運んで、現地で測定することを計画したが、現地で場所の提供を受けることが難しいことが判明した。だからと言って、被験者さん達を神奈川工科大までお連れするのは遠すぎるので、f-NIRSの装置を国立健康・栄養研究所に運んで、被験者さん達を当研究所までお連れし測定する方向で進めている。 次年度はf-NIRSによる脳解析の他、新鮮血からアシル化グレリン(活性型)量を測定して、相関を見る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
f-NIRSによる脳解析の予備実験を進める中で、食欲の微妙な程度差を捉えるためには、被験者の空腹の程度を出来るだけ揃える必要があることが判明した。f-NIRSの装置を佐久総合病院に運び、現地で測定する予定だったが、それが難しく、測定を次年度(平成26年度)に延期した。被験者対応のためより多くの人手が必要な次年度の使用を考えて、初年度は研究費の執行を抑えた。 初年度(平成25年度)に予定した遺伝子解析に必要な試薬など消耗品は、以前からの買い置きを主に用いたりしているため、研究は遅滞なく進展している。 人件費について、次年度(平成26年度)と最終年度(平成27年度)で研究補助員のべ4名を雇い、その人件費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)