2015 Fiscal Year Research-status Report
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25350386
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| Research Institution | Juntendo University |
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Principal Investigator |
澤井 直 順天堂大学, 医学部, 助教 (40407268)
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2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 解剖学用語 / 医学学習 / 学習指導書 / 初期近代 / デカルト |
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| Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、1）16世紀の医学教育における解剖学の位置づけ、2）17世紀の解剖学用語の広がり、について調査した。
1）に関し、従来取り上げられることの少なかった、医学学習指南書を調査した。調査は指南書に該当する著作をタイトルや16～17世紀の医学書における参照情報から割り出すことからはじめ、17世紀初頭までの12冊の著作が見つかった。次に、これらの著作の著者の活動について調べ、著作の内容を比較した。タイトルや緒言に医学学習を始めるに当たっての指針を扱っていると示されている著作群であるが、学習者の心得や生活態度を説いたものから、具体的に学習すべき科目や読むべき書籍を示すものまで、幅広い話題が扱われていた。それらのなかで、解剖学についての言及は極めて限定的だった。16世紀末から解剖学の重要性が唱えられるが、それ以前では盛んに解剖学が研究されていた大学の教授による著作でも、解剖学には触れられていなかった。解剖学の勃興が近代医学の出発の礎にあるとされることが多いが、実際に解剖学が当時の医学に与えた影響について、さらに吟味する必要があることが分かった。
2）に関しては、デカルトの用いた解剖学用語について、他の解剖学書からの影響があるかどうか、また影響がある場合にはどの解剖学書・解剖学者からの影響が強いのかを調査した。デカルトの機械論生理学の提起は、単なる机上の空論ではなく、自ら解剖観察を熱心に行っていたことに基づいている、と言われているが、どのような観察を行っていたのかまでは取り上げられることが少なかった。用語に限定して影響関係を見ることで、デカルトの観察の独自性を評価することを試みた。結果として、ガスパール・ボアンの用語をほぼ踏襲していることが分かり、当時一般に使用されていた教科書を丹念に読み込んでいたことが窺われた。また冠状血管については独自の観察を行っていることが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度までに、16世紀における解剖学の影響について、用語の影響についてはかなり明らかにすることができた。27年度はさらに、17世紀の解剖学用語におけるボアンの影響力の強さが分かった。また解剖学そのものが16世紀に成立したと言われているが、解剖学書だけからその成立を見るのではなく、より広く、医学全体における解剖学の位置づけを論じるための準備として、医学学習指南書という従来研究が手薄だったジャンルを取り上げ、解剖学が教育において重視されるのは16世紀末からであることを明らかにした。
しかし、ヒト・動物の扱いについて、まだまとまった考察が行えていない。怨念度まで取り上げてきた文献は、人体解剖学書や医学書が中心であるため、「動物」という問題・意識が明示的に現れていない可能性がある。この問題についてさらなる調査を行うことが急務である。
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| Strategy for Future Research Activity |
１）27年度までに行った調査を拡張して、16世紀から17世紀までの解剖学用語の変遷をまとまった形で考察する。
２）初期近代の医学における解剖学の位置づけについて、解剖学書における解剖学の位置づけと、解剖学書以外の医学書における解剖学の位置づけ、及び当時の医学教育における解剖学の扱いを比較する。
３）初期近代におけるヒトと動物の扱いについて、アリストテレスの動物学関連の著作のラテン語訳や注釈書及び独自に書かれた著作を中心に調査する。
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| Causes of Carryover |
大型辞書の購入を予定していたが、出版が年度末近くになり、さらに出版される当初の予定額を大幅に超えていたため、27年度には購入することができなかった。そのため、未使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の未使用額と今年度の交付金を合わせて、前年度購入できなかった辞書を購入し、計画していた調査を実行したい。
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