2017 Fiscal Year Annual Research Report
Human and animal in early modern anatomy
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25350386
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
澤井 直 順天堂大学, 医学部, 助教 (40407268)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 解剖学 / 生理学 / 分野の成立 / 解剖学名 / 機械論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は16世紀から18世紀西欧における解剖学・生理学の位置づけについて調査した。調査は解剖学と生理学の専門書を用いた分析と医学学習について記された著作の分析の2方面から行った。 専門書を用いた分析では、16世紀に実地の解剖に基づく解剖学が行われるようになったことの確認から始めた。特に筋肉名の変遷から、16世紀後半に解剖学研究が多数行われるようになり、解剖学書も多数出版されていたこと、16世紀末は大量の研究情報を整理し、情報・名称の統一が図られるようになり、研究分野として成熟期に入ったことが明らかになった。 同時期の「フィシオロギア」という分野については身体部分の素材、形状、関係、働き、などを総合的・思弁的に扱うという特徴があり、現在の「生理学」とは大きく異なっていることが確認された。17世紀には「フィシオロギア」は再編成され、主に各器官系の機能を論じるようになった。この時期の研究はハーヴィによる血液循環の論証やデカルトの機械論からの強い影響を受けていた。 18世紀ではブールハーフェの生理学について調査し、当時蓄積されていた医学・生物学の成果だけでなく、物理学や化学の成果を踏まえ、器官系ではなく臓器単位での機能を論じるようになっていた。ブールハーフェの弟子のハラーも同様の傾向が見られたが、盛んに行われるようになっていた形態・機能に関する多数の研究成果を総合した生理学を提示した。同時代ではハラーが生理学を学問分野を成立せしめたとも評価されていた。 ブールハーフェとハラーについては、それぞれが残した医学学習に関する著作も調査し、上記の傾向が改めて確認された。
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