2013 Fiscal Year Research-status Report
多年度ステレオ写真解析による過去半世紀の南極氷床縁変動の追跡
Project/Area Number |
25350415
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤柿 教伸 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (70312410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南極氷床 / 地球温暖化 / リモートセンシング |
Research Abstract |
南極・宗谷海岸地域を撮影した1960年代以降のステレオペア画像を発掘・収集し,カタログ化をほぼ完了した.カタログ化にあたり,飛行高度やカメラの焦点距離等の情報も収集した.また,収集したデータから解析可能な年次を選定し,解析ルーチンに要求されるプロトコルを確立した.これらの研究成果を,日本雪氷学会,日本地理学会,ならびに国立極地研究所主催の国際シンポジウムにて,口頭およぶポスターにて発表した. 具体的には,空中写真と衛星画像という2種類のリモートセンシングデータから数値標高モデルを生成・比較することで,南極・宗谷海岸における過去45年間の氷床の表面高度変化を検出することを試みた.まず,収集したステレオペア画像を,今年度予算で購入したスキャナでデジタル化し,ステレオ実体視モニターと写真測量用ソフトウェアらなるデジタル図化機でDEM化した.DEMの生成に際して不規則三角網(TIN)を用いているが,TINを自動生成した後に,地表面や氷床表面の実体視空間合わせて三角網の各接合点を手動で調整することにより精度を高めた.誤差検証の結果,この操作によって,高度誤差数m以内で多時期のDEMの差分を検出することが可能であることが明らかとなった. 同一地域の経年変化を検出できるような多時期ステレオペア画像を選定した結果,1962年と1991年と2007年の画像が,宗谷海岸の氷床縁の変動を追跡するのに有用であることが判明した.手始めとして,ラングホブデ地域において氷床の表面高度変化と末端の前進を解析した.その結果,ラングホブデ氷河の末端位置は1975~2007年の35年間で406m後退し,表面高度は0.14±3.8m変化していることが明らかとなった.氷河の末端位置は1975年から2007年にかけて大きく後退したものの,表面高度は定常状態もしくはわずかに増加傾向であったことになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多年度ステレオペア画像の発掘・収集,およびカタログ化をほぼ完了した.また,収集したデータから解析可能な年次を選定し,解析ルーチンに要求されるプロトコルを確立し,初期解析と誤差検証を完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
収集したステレオペア画像について,多年度・多地域における解析を進め,ある程度結果がでたところで順次,学会で発表する.また成果を論文としてまとめて学術誌に投稿する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度3月中に購入した物品の会計処理が3月中に会計システムに反映されなかったため. 実際には当該年度3月中に購入したものであり,翌年度4月には会計システム上はただちに執行されており,実質的な次年度使用残額はない.
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Research Products
(3 results)