2013 Fiscal Year Research-status Report
住民防災組織の活性化策の比較研究―住民防災組織内の専門性―
Project/Area Number |
25350484
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永田 尚三 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (40286216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 真一 常磐大学, コミュニティ振興学部, 准教授 (30326813)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 消防団 / 消防団の安全管理 / タイの住民消防組織 |
Research Abstract |
当該年度中に研究計画を前倒しして、タイの住民レスキュー組織や、住民救急組織、住民消防組織及びバンコク市の公的消防組織について、現地調査を実施した。調査の結果、住民組織による消防・救急活動が盛んであるタイにおいては、救助技術、消火技術、安全管理等の多様な研修が、民間レベルで提供されていることが分かった。ただ安全管理の研修が充実している一方、無謀な消火活動、救助活動で死亡する住民組織メンバーも多い実態も見えてきた。 またタイにおいては、行政によって運営される公的消防組織と住民消防組織の連携体制はほとんど構築されておらずむしろ競争関係にあり、行政からの独立性が高いことが、住民消防組織メンバーの自立心ややる気に繋がっている側面があることも、インタビュー調査等から見えてきた。一方で競争関係が、現場活動の障害になっている部分もある。住民組織間の競争も激しく、殺人事件にまで発展するケースも少なくない。 更に近年、バンコクでは住民消防組織が急増していることが分かった。従来、レスキューや救急搬送の活動を行う住民組織は多かったが、住民消防組織は少なかった。都市化の進展と共に、消防需要が高まっていることが背景にある。わが国では戦前から、都市化の進展と共に住民消防組織(戦前は消防組、戦後は消防団)の構成員数の減少が始まり、行政の公的消防組織の拡大へと繋がったが、タイにおいては逆の現象が生じている。 今後タイの住民消防組織の調査に関しては、住民組織、各種研修、住民組織と行政との関係、住民組織間の関係等の実態解明に努め、わが国の消防団の安全管理及び活性化策に参考となる点を明らかにしていきたい。また国内調査や台湾の調査も、来年度は実施したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、大きく国内調査と海外調査(タイ、台湾)を実施する計画となっている。これらの内、国内調査については事前調査である程度研究上の目安がついており、また台湾の調査も内政部消防署(台湾の政府機関)職員の協力が得れることから、比較的スムーズに進むことが予想される。もっとも困難が予想されたのがタイの調査であったが、計画を前倒して、タイの住民消防組織の安全管理についての現状調査をまず最初に行い、更に詳細な調査を行うための道筋をつけることが出来た。再度現地調査を実施することで、ほぼ欲しい情報やデータは得れる目途がついた。ただ現地調査実施後、タイの政情が不安定化した。状況が安定化し次第、再度現地調査を実施したいと考えている。タイの政情が不安要因ではあるが、ここまでは当初の計画以上に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる26年度は、海外(タイ、台湾)の住民消防組織の安全管理についての調査を進めて行きたい。タイに関しては、25年度に足がかりを作ったので、更に詳細な第2回目の調査を実施したい。台湾に関しても、第1回目の調査を実施したい。 また国内調査に関しては、消防団しかない非常備町村の調査を行い、これら地域ではどのような消防団管理が行われているかを明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、国内調査等を先に複数回行うと共に、アンケートの郵送調査も行い予定であった。しかし本研究の内、最も困難が予想されたタイの調査を初年度に実施した。そのため、旅費、郵送費等に当初の計画ほどは使用しなかったことにより、次年度使用額が生じた。 26年度は、25年度に後回しにした国内調査や郵送調査を実施するので、その費用に充てたい。
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Research Products
(3 results)