2014 Fiscal Year Research-status Report
住民防災組織の活性化策の比較研究―住民防災組織内の専門性―
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25350484
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永田 尚三 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (40286216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 真一 常磐大学, コミュニティ振興学部, 准教授 (30326813)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 台湾 / 内政部消防署 / 消防団 / 自警消防隊 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、台湾の消防団の現地調査を、台湾内政部消防署(国の消防機関)の協力を得て実施した。都市部と農村地域の消防団の現地調査から得られた知見としては、台湾は消防団入団のための新しいインセンティブの創設に向けて様々な努力をしていることが分かった。消防団活動を行うとポイントが貯まり、そのポイントを将来自身の介護サービス等で使用することが出来るボランティア貯金制度を作っている。また消防団活動の幅を従来の消火活動から、発生頻度の高い救急活動等に広げ、やりがいの創出も目指している。活動のやりがい向上に関しては、賞罰制度も一役買っている。徹底的に日常活動を評価し、成果を上げた場合は頻繁に表彰を行う。技術コンテスト等で優秀な成績をとった場合は、高規格の装備購入のための報奨金が貰える。一方、不真面目な団員は、強制的に退団させる罰則もある。また消防団活動への家族の理解を得るため、家族を巻き込んだリクリエーション等も頻繁に実施している。 更に本研究では、国内調査も実施した。特に、地域コミュニティー内における入団強制力という視点から、自警消防隊に着目し調査を実施した。地域によっては、自治会や町内会が消防団とは別に住民消防組織を保有するケースがある。その多くは戦前私的に設置された住民消防組織(私設消防組)の名残である。この自警消防隊が未だ残っている地域の現地調査を行い、これら地域では極めて身近な組織であることから、構成員の帰属意識が消防団以上に強く、家族や近隣住民による入団強制力も極めて強く働くことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の調査は、ほぼ予定通り進んでいる。また得られた知見も多い。ただ調査手法がヒアリング調査に偏っているため、得られた知見を客観的データで実証し、説得力を増す作業を平成27年度は重点的に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度である。研究をまとめ消防団の具体的活性化策を提示する視点から、実証データの収集および分析を行い、ヒアリング調査で得られた知見に説得力を持たせたい。またヒアリング調査で不十分な点を補う視点から、台湾調査を再度実施するとともに、自警消防隊地域や消防団未設置地域の国内調査を継続的に行いたい。
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Causes of Carryover |
タイの現地調査が、1回目調査でほぼ目的を果たしたため、タイへの現地調査費分が予定よりも余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、アンケート調査(全国消防団に対するアンケート調査・特定地域の団員に対するアンケート調査)等の実証データ収集・分析に予算に充てると共に、再度台湾の消防団の調査を行い平成26年度調査で不明確だった点を明らかにしたい。また国内調査(非常備町村及び自警消防隊設置市町村)も可能な範囲で実施し、報告書をまとめ印刷を行うと共に、web上でオープンアクセスで研究成果を公開するため予算を用いたい。
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Research Products
(5 results)