2015 Fiscal Year Research-status Report
住民防災組織の活性化策の比較研究―住民防災組織内の専門性―
Project/Area Number |
25350484
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永田 尚三 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (40286216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 真一 常磐大学, コミュニティ振興学部, 准教授 (30326813)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 消防団 / 消防団の活性化 / 消防 / 共助 / 救急 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、国内調査を中心に研究を実施した。実施した主な調査は、①宮崎県の消防非常備町村における消防団の現地調査、②京都府京丹後市の地域コミュニティーが管理する自警消防隊の現地調査、③離島(兵庫県の小豆島、家島)地域の消防団の調査、④水害が発生した茨城県常総市の消防団の現地調査等である。 宮崎県の消防非常備町村(町村の行政が消防本部を設置しておらず、消防団しか存在しない地域)における現地調査からは、これらの地域が抱える緊急性のある問題が消防よりも救急に存在し、消防団が本来業務ではない救急にどのように関与しているかという点が明らかに出来た。これらの地域では、救急は①役場救急、②医療所救急、③民間企業への委託のいずれかないしは混合体制で実施されている。特に、①②のパターンが多いが、その救急搬送を消防団員、元団員が担当している地域がある。また、救急車が到着するまでの間の、バイスタンダーとして応急救護活動において、消防団員への期待がこれらの地域では非常に高いことが分かった。 京都府京丹後市では、一部地域に自警消防隊という地域の区会(自治会)が管理する共助組織が消防団以外にも存在し、地域の共助体制において重要な役割を果している。また消防団の団員確保においても、重要な役割を果していることが分かった。 離島地域の消防団は、島内に消防本部が設置されている地域といない地域で状況がかなり異なる。派出所しかないような地域では、救急のみを常備消防が担い、消防はすべて消防団が請け負っている。 平成27年度は、水害の発生した茨城県常総市の消防団調査も実施したが、茨城県常総市の消防団は、災害時に隣接地域の消防団から広域応援を受けていたことが分かった。これは消防団では、非常に珍しい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展していたが、平成27年9月に常総市での水害が発生し、本災害における消防団の対応等の調査を、急遽実施したことで、少々予定の進行から遅延が発生した。そのため、研究期間を一年延長し、本研究のまとめ、研究成果の公開を行いたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
延長申請を行った後に、熊本の震災が発生した。本震災についても、消防団の対応体制がうまく機能したのか、その課題は何か等についての調査を実施したいと考えている。またこの一年で、本研究成果をまとめる作業及び、公開する作業を行いたい。
|
Causes of Carryover |
当初予定では、台湾とタイの現地調査を2度実施する予定でいたが、現地の政府関係者の協力等もあり、当初予定よりも効果的・効率的な調査が1度で出来たため、旅費が残ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究期間中に、茨城県常総市の水害や熊本県の震災等、大きな自然災害が発生した。これら災害による消防団の対応体制等の調査を行うとともに、本研究成果のまとめを行い、研究成果をHPで公開したい。
|