2014 Fiscal Year Research-status Report
線量制御可能な体内挿入式微小X線源のための柔軟イオンビーム輸送管の研究
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25350545
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小島 隆夫 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 専任研究員 (90211896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絶縁体細管 / イオンビームガイド / ガイド効果 / 材質依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究により、絶縁体細管によるイオンビーム輸送はテフロンなどのポリマーよりもガラス素材(とくにソーダライムガラス)の方が格段に安定していることがわかった。ガラス管は柔軟ではないが、テフロン等の細管内面に薄いガラス・コーティングを施すことができれば(そのこと自体には別途技術開発が必要かもしれないが)すぐれたビーム輸送特性を持つ柔軟細管が期待できると考え、本年度は、その基礎データとなるようなガラス素材のガイド特性の測定を重点的に行った。 前年度の材質依存の実験計測を発展させ、同じサイズ(長さ50mm、内径/外径=1.10/1.65mm)のソーダライム、ボロシリケイト、カリウム鉛の各ガラス直管でビームガイド効果のエネルギー依存性、ビーム強度依存性などを系統的に測定した。その結果、ビームのエネルギーを上げると、比較的強度が弱い場合にはボロシリケイトでも良好なガイド効果が観測され、さらにエネルギーを上げた場合には、カリウム鉛ガラスでもガイド効果が観測された。 これは素材の体積抵抗率に関係していると考えられる。体積抵抗率が小さければ放電しやすいので、低エネルギーで高強度のビームのガイドに向いているが、体積抵抗率が大きくなると電荷が蓄積(帯電)しやすくなるため弱いビームでないとガイド効果に必要な帯電・放電のバランスが保てない反面、高いエネルギーのビームをガイド可能になる。測定した3つの素材の体積抵抗率は、ソーダライム、ボロシリケイト、カリウム鉛の順に、およそ2桁ずつ大きくなり、上記のメカニズムを想定すると、実験で観測された傾向とよく一致している。この知見は使用するビームに合わせた最適な素材を検討する際の指標となると考えている。 また、本年度は、前年度後半の設計に基づき、直線回転導入系のパルスモーター駆動化およびプログラム制御化の改造を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたよりもガラス素材のガイド効果が格段に優れていたため、ガラスコートした柔軟素材を使用する可能性を考慮して、ガラスのガイド特性の系統測定にかなりの時間をかけた。そのため当初計画していた実験の一部が後回しになったが、並行して進められる実験は進めているため、全体として大きな遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初計画通りに進める:本年度にやり残した輸送ビームの特性(価数、エネルギー、ビームの広がり等)の測定を進めるとともに、絶縁体曲管のガイド特性(輸送効率・安定性など)の系統測定を行い、最も成績の良い素材を用いて 10 cm を超える長い柔軟曲管でのビーム輸送を試みる。ただし、これまでの実験結果からイオンビーム輸送管としてはテフロンよりもガラス素材の方が格段に安定したビーム輸送が得られることがわかっているので、通常のテフロン管の他、可能であれば内壁をガラスでコーティングしたテフロン管や、極細ガラス繊維で編んだ細管なども試作・入手して試験サンプルに加えていく。
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Causes of Carryover |
絶縁体細管のビーム輸送効率の系統測定に重点を置いたため、輸送されたビームの諸特性(価数分布、エネルギー分布、ビームの広がり等)の測定準備・機器手配が遅れ、年度内の発注ができなかった。 また、現行の多価イオン源施設が施設側の事情で次年度中に使用できなくなるとの通知があり、その場合には実験継続のため装置を別施設へ移設しなければならないことから、その費用確保のために消耗品費・旅費を節約したため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
輸送ビームの特性測定を準備し、必要な機器類を順次手配・発注して当初計画に追いつく予定である。また、差額の残りは次年度のイオン源施設の使用停止に合わせて実験装置の移設費用に充てる。
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Research Products
(3 results)