2013 Fiscal Year Research-status Report
中高年および慢性閉塞性肺疾患患者における歩行中の筋肉および脳の酸素化状態の検討
Project/Area Number |
25350624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沓澤 智子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10183310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 6分間歩行試験 / 高齢者 / 慢性閉塞性肺疾患 / 近赤外分光法 / 腓腹筋 / 外側広筋 / 前頭葉 |
Research Abstract |
健常高齢者7名(67.1±4.7歳)、COPD患者5名(71.0±2.0歳)の6分間歩行試験を行った。健常高齢者の歩行距離は、607.6 ± 50.7 m、経皮酸素飽和度(SpO2)は安静 97.6 ± 1.0 %から歩行中最低値94.7±1.4 %、脈拍数は、安静 76.1±10、歩行中最大値 135.4±13.3であった。歩行中の腓腹筋の酸素化状態は、開始直後に筋肉ポンプ作用により総ヘモグロビン(tHb)が低下し、それとともに酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の低下、脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)の上昇が認められた。tHb, oxy-Hbは最低値を示したあと、徐々に上昇した。外側広筋の酸素化状態は、歩行開始後tHb、oxy-Hbは低下したのち、ほぼ一定となった。Oxy-Hbが最低となる時間は、外側広筋のほうが腓腹筋より有意に遅かった。このことから、歩行時の腓腹筋と外側広筋では、酸素化状態、とくにtHbの動態が異なることが明らかとなった。前頭部の近赤外分光法のデータは、皮膚血流の変化の寄与がどの程度あるかが、問題となっている。2013年度に購入した解析ソフトの独立成分分析をもちい、皮膚血流の影響を除去することができないか解析を進めている。COPD患者では、歩行距離545.2±78.0m、経皮酸素飽和度(SpO2)は安静 95.2 ± 1.3 %から歩行中最低値88.6±4.5 %、脈拍数は、安静 87.6±8.8、歩行中最大値 131.2±13.4であった。酸素化状態については、これから解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人、COPD患者ともに10名を被検者とする予定であるが、健常人7名、COPD5名の測定を完了できている。とくに患者群を5名測定できたことは、予定以上に研究を進められたと考えている。データ解析では、健常人の下肢筋の測定に関しては、進んでいる。しかし、前頭部のNIRS測定に関して、皮膚血流の関与が少なからずあるとの近年の報告から、当初予定していた解析方法ではなく、独立成分分析等の手法を使用する必要があり、現在解析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、健常高齢者(3名)、COPD患者群(5名)の測定をしていく予定である。データ解析について、下肢筋に関しては、COPD患者の酸素化状態を健常高齢者と比較する。また、歩行中SpO2が90%未満になった患者とならなかった患者において、比較する。前頭部のデータに関しては、独立成分分析を用いた解析をすすめ、健常高齢者と患者群で歩行時の前頭葉の酸素化状態の動態を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)