2015 Fiscal Year Annual Research Report
中高年および慢性閉塞性肺疾患患者における歩行中の筋肉および脳の酸素化状態の検討
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25350624
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
沓澤 智子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10183310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸素化状態 / COPD / 6分間歩行試験 / 下肢筋 / 前頭葉 / 独立成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年度からの測定人数が、健常高齢者11名(66.6±4.3歳)、COPD患者13名(66.8±6.5歳)となった。健常高齢者の歩行距離は、599.0±44.2 m、経皮酸素飽和度(SpO2)は安静97.6±1.0%から歩行中最低値94.9±1.6%であった。COPD患者では、歩行距離532.3±68.4m、SpO2は安静95.3 ± 1.7 %から最低値89.6±4.3 %であった。腓腹筋と外側広筋では、歩行中の筋血液量(t-Hb)の変化が異なっていた。患者群の腓腹筋は、健常人に比べ歩行中のt-Hbの増加が少ない傾向が認められた。また、歩行中SpO2が低下し続ける患者では、酸素化Hb(HbO2)が徐々に低下しており、歩行中のSpO2の低下のしかたが、下腿筋の酸素化状態に影響を与えていると推測された。 2015年度は、前額部と両頬の近赤外分光法(NIRS)のデータ解析を行った。両頬の酸素化状態の定性的な解析では、健常人で、歩行開始直後にHbO2、t-Hbが一過性に増加し、その後低下し、一定ないし徐々に増加した。COPD群では、歩行開始直後の増加が認められないか、変化が小さかった。前額部のNIRS信号は、皮膚血液量の変化を含むことが報告されている。我々は独立成分分析を用いて、頬のHbO2変化が最小になる独立成分を同定し、前額部のNIRS信号からその独立成分を除去した。4名の健常人の、独立成分分析後の前頭葉酸素化状態は、HbO2が歩行開始後、軽度低下し、その後一定ないしやや上昇した。健常高齢者では、6分間歩行試験時には前頭葉の賦活はおこっていないと推定された。3名の患者では、2名が健常人と同様の変化を示したが、運動中にSpO2が低下した患者では、運動中にHbO2が徐々に低下していた。今後も、解析をすすめ、患者群での前頭葉の変化を明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)