2014 Fiscal Year Research-status Report
3D映像による近見反応測定の確立と視空間認知障害へのリハビリテーションへの応用
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25350629
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
原 直人 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30265699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向野 和雄 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (60050473)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 輻湊 / 瞳孔 / 調節 / 近見反応 / 外斜視 / 脳損傷 / リハビリテーション / 手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)基礎実験として健常者5名を対象とし3D映像刺激を呈示した際の動的な近見反応を解析した。輻湊(視線の位置)は、若年者・高齢者ともに画像の呈示距離に応じた正常運動を示す。一方、瞳孔縮瞳は、若年者は縮瞳せず、高齢者は近見視に伴う縮瞳が解析により起こることが分かった。この結果は、若年者は焦点調節機能により高齢者は縮瞳による被写界深度を深くすることで画面に焦点を合わせるていると考えられた。2)間歇性外斜視あるいは外斜視患者9名に対して、手術前後に近見反応測定装置を用いて輻湊と瞳孔縮瞳の記録を行った。本装置は、ステップ刺激を与えることができ、かつramp状の刺激が可能で日常的な近見反応に近い状態を捉えることが出来た。3)脳損傷患者(右頭頂葉出血)輻湊不全型外斜視若年者(22歳男性)。第一眼位は右外斜視。動的視野検査で左下1/4半盲を認めた。輻湊不全と調節反応の減弱を認めた。交代プリズムカバーテストにて遠見眼位45Δ外斜視3Δ右上斜視、近見眼位60Δ外斜視3Δ右上斜視であった。右外直筋後転術8㎜を施行。術前の主訴である複視は消失した。斜視の術後2年後、平成25年6月、交代プリズムカバーテストによる眼位検査では、遠見眼位4Δ外斜位、近見10Δ外斜位であり、近見立体視は、TNO stereo testで240secまで可能となった。輻湊が可能となり眼位は正位を保つようになった。しかし3D映像記録装置での解析では、輻湊には改善がみられたが正常な輻湊ではないことを検証した。頭頂後頭葉領域は近見反応にとり重要な領域であり、外斜視発症の重要な原因領域と考えられる。4)これらの結果は、国際斜視学会 in Kyoto 2015にて報告した。活発な質疑応答が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)正常者に対して、3D映像により実際に映像呈示部分の視線制御すなわち輻湊眼球運動を記録することができた。また映像提示部分に輻湊に伴って瞳孔縮瞳反応を確認できた。老年者では、瞳孔が小さいもののさらなる縮瞳が起きていること、一方、若年者は縮瞳はせずに焦点調節により縮瞳することが分かった。以上、本装置により3D映像視聴時には近見反応が起きかつ緻密な視線制御が起きていることが検証できた。 2)間歇性外斜視の輻湊と縮瞳間歇性外斜視の斜位近視群は近見反応の調節・縮瞳が過剰となっていたが、手術により可逆的であったこと、非斜位近視群は術前に過剰な調節反応はみられなかった。これらは、強い融像性輻湊と縮瞳が持続する適応的変化であり、また独自の神経経路により調節を補償することが判った。間歇性外斜視による近見反応は、疲労の原因であると啓発中として極めて困難と思われます。一方で、NHK放送番組:ためしてガッテン「ヤバイ!疲れ目頭痛肩こりまとめて劇的改善DX」(2014.6.4放送にてさらに啓発することができた。 3)最終目標である3D映像による脳損傷患者に対するリハビリテーションとしては、脳損傷による外斜視(麻痺性斜視も測定可能であった。国際斜視学会 in Kyoto 2015にて”The measuring between preoperative and postoperative near response to 3 dimensional images, and surgical outcomes in intermittent exotropia.”として報告した。来年度は、これまでのデータをさらに解析して、学術論文にて報告、啓発する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのデータを解析して、新しい知見を検討を行っていき、これを学術論文にする。また本装置・実験系は、近見視した状態すなわち近見反応した状体で瞳孔計測が可能であることから、デジタル画面による画面からの光刺激による輻湊と瞳孔縮瞳の役割や影響など現在のデジタルライフでの”視機能への影響”を研究する方策である。
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Causes of Carryover |
学術論文作成特に英文作成が遅れているため。また人件費が使われていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)学術論文の作成、特に英語論文翻訳代として使用する計画である。英文抄録および本文の日本語から英文に翻訳する場合、高額な費用がかかると思われる。2)報告会・学会に参加、旅費として使用する予定である。3)研究分担者との最終的な研究報告会を開催する(会場費と旅費に使用する予定)。
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Research Products
(10 results)