2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性期脳卒中片麻痺患者の痙縮治療を契機に変容する障害体験のモデル化
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25350646
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
菅 俊光 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40288816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 佐和子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20610900)
深瀬 裕子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80632819)
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60362472)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳卒中後遺症 / 痙性片麻痺 / ボツリヌス療法 / 質的研究 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の調査は3名を対象に全10回の調査を行った。調査は、施注前と施注後1ヵ月ごとに実施した。症例1では、施注後1ヵ月後の調査では施注後1週間は腕が軽くなった、足がまっすぐ出るようになったという感想が得られたが、調査時点で既に効果が切れたと感じており、その後の調査では、変化がないという語りや、最近転倒して自信がなくなり動作が思うように行かない、転倒が怖いという語りなどが得られた。症例2では、副作用情報として過去に自身が起こした痙攣が記載されており、痙攣が生じた際の家族の負担やせっかく歩けるようになったのに歩けなくなるのでは無いかという思いが生じ、施注には至らなかった。症例3では、施注後の調査では、施注後1週間くらいで歩きやすくなったと感じ、自主的に行っている歩行練習の歩数を倍にして練習を継続していた(施注後3ヶ月時点でも継続)。 また、第40回脳卒中学会にて「在宅脳卒中患者がボツリヌス治療を選択する過程について」発表した。ボトックス治療を受ける選択をした3名の生活期脳卒中後遺症者に面接調査を行った。分析は,時間軸を含めて多様な経路を分析するTEM (複線径路・等至性モデル) を用いた。患者がボトックス治療を選択するにはニーズと合致したボトックス治療の効用に関する情報を得ることが必要であり,特にその具体例は治療選択に強い影響を与えていた。また,家族の関わりが患者の意思決定に影響しており,医療従事者は家族を視野に入れた関わりが求められると考えられた。今後の課題は,ニーズに合致したボトックス治療の情報と医学的に期待される効用の一致度が,施注後の満足度や治療意欲に与える影響を検討することであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は研究に参加するボトックス治療を受ける患者のリクルートに難渋した。リクルートした1症例ではボトックス治療に至らなかった。また、当初は症例数を10症例としていたが、昨年度に分析時間に時間を要するために症例数を3症例、インタビュー1症例につき4回に変更した。研究分担者2名の所属が変更となったこともあり、分析には多大な時間を要している。ホームページの作製も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性期脳卒中痙性片麻痺患者5症例で、ボトックス療法が患者に与える心理的変化、機能の変化、活動・参加の変化について検討する。心理的変化については、Trajectory Equifinality Model:TEMあるいはModified Grounded Theory Approach:M-GTAを用いて質的な評価を行う。各症例において、インタビューを4回(ボツリヌス施注前、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後)行う。最終年度であり、各症例に対する評価とは別にこれまでの症例を合わせた評価を行う予定である。また、遅れているホームページを早々に開設する予定である。
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Causes of Carryover |
研究に参加するボトックス治療を受ける患者のリクルートに難渋した。また、リクルートした3症例のうち1症例はボトックス治療に至らなかった。研究分担者2名の所属が変更となったこともあり、分析には多大な時間を要している。ホームページの作製も遅れているため、ホームページの作成費が執行されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
慢性期脳卒中痙性片麻痺患者5症例で、ボトックス療法が患者に与える心理的変化、機能の変化、活動・参加の変化について検討する予定である。各症例においてはインタビューを4回(ボツリヌス施注前、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後)行い、Trajectory Equifinality Model:TEMあるいはModified Grounded Theory Approach:M-GTAを用いて心理的変化について質的な評価を行う。最終年度であり、今年度対象症例に対する評価とは、別にこれまでの症例を合わせた評価を行う予定である。また、遅れているホームページを早々に開設する予定である。症例インタビュー経費(テープ起こし等)、ホームページ作成費、会議費、成果発表等の旅費を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)