2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性期脳卒中片麻痺患者の痙縮治療を契機に変容する障害体験のモデル化
Project/Area Number |
25350646
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
菅 俊光 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40288816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 佐和子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20610900)
深瀬 裕子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (80632819)
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60362472)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 脳卒中後遺症 / 片麻痺 / 痙縮 / ボツリヌス療法 / 質的研究 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,当該研究に関するホームページ(脳卒中片麻痺患者に対するボツリヌス療法の質的研究)を開設した。脳卒中後遺症者1名への4回にわたる縦断調査を実施した。また,平成26年度までに調査した5名について,グラウンデッド・セオリー,複線径路・等至性アプローチ,事例研究を中心とした分析を行った。分析の結果,痙縮治療の効果の感じ方には,治療前に主治医から受ける説明への理解と,治療後の痙縮の変化に対する周囲からの指摘が影響していることが示された。また,事例研究と質問紙調査からは,痙縮治療までは同様の経過をたどった患者でも,痙縮治療への期待,治療後の効果への満足度が異なったこと,NEO-FFI得点の違いなどから,患者自身のパーソナリティを踏まえた治療方針が必要であることが明らかとなった。以上の成果を日本健康心理学会第28回大会で発表した。脳卒中後遺症者のリハビリテーションを行っている医療従事者との議論から,痙縮治療や新しい治療を受ける患者・家族の心理について,治療を支える医療従事者への周知も重要であるとの示唆を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
事業期間中に研究分担者2名の所属や研究協力者の業務が多忙により、患者の研究参加承諾に難渋したために研究遂行に時間を要した。平成27年度下半期には面接調査を終了して分析の予定であったが、平成27年12月からボツリヌス療法適応患者1名の研究参加承諾を得て面接調査を行った(面接は3月に終了)。 また、心理的な質的評価として、Trajectory Equifinality Model:TEMあるいはModified Grounded Theory Approach:M-GTAを用いて行う予定であったが、できる限り、TEMおよびM-GTAを用いて評価しているため、解析に時間がかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度上半期には平成27年度に行った患者の解析を行う。さらに、引き続いて新たな患者のリクルート、面接調査および解析(質的心理評価)を行う予定である。下半期には、行ったすべての症例の解析(質的心理評価)結果から本研究の最終結論を作成して、学会発表、雑誌投稿を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究対象患者(ボツリヌス療法を施行された慢性期脳卒中片麻痺患者)数が少なく、平成28年度にも新たな患者のリクルート、面接調査および解析(質的心理評価)を行う予定である。行ったすべての症例の解析(質的心理評価)結果から本研究の最終結論を作成して、学会発表、雑誌投稿を行う予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究対象患者(ボツリヌス療法を施行された慢性期脳卒中片麻痺患者)への医療面接は1名に対して4回行う予定であり、面接者の当該医療機関までの旅費が必要となる。学会発表、雑誌投稿のための費用が発生する。学会発表については、参加費、旅費等が必要となる。雑誌投稿には論文作成のための費用(英文チェックなどを含めて)や投稿費が必要となる。
|
Research Products
(3 results)