2014 Fiscal Year Research-status Report
プレーパークの活用による小学校入学に向けたエデュケア型つなぎプログラムの開発
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25350706
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | つなぎ教育 / 居場所 / プレーパーク / 体力 / エデュケア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の第一の成果はプレーパークを活用した未就学児の遊びプログラムを実施し、コミュニティにおける子ども子育て支援拠点としての認知を子ども自身、家庭、未就学施設に浸透させたことである。世田谷区2園(のべ12回)、町田市(のべ10回)の活動を行った。また体力測定と保護者に対する質問紙調査を実施した。測定はプレーパークを高頻度で活用する保育園と自主保育グループの子どもを活用群として、介入群と比較検討した。体力測定結果については、活用群の測定値がよい傾向は変わらなかったが、介入群ではベースラインデータからの変化が大きいことが観察された。特に、握力、体支持力、左右ジャンプの値が向上していた。質問紙調査結果からは、「活動の日は子どもがうれしそうだった」が86%、「入学後もプレーパークで遊んでほしい」は91.5%だった。プレーパークに行く頻度は頻度が増えたのは2割だったが、親の仕事やプレーパークの位置等が関連している可能性がある。 第二の成果は自治体におけるつなぎ教育に関する実態調査を行い、現状を把握することができた。調査は千葉市内の小学校111校、未就学施設81カ所より回答を得た。児童保育要録・幼児指導要録を使用した申し送りがほとんどで、その他は電話等が約半数~6割で、会議体や対面申し送りは4割以下にとどまった。未就学施設の種別間で実態や認識の差が見られ、民間保育園ではつなぎをの重要性を認識しながら実態が追いつかない現状が見られた。居場所の活用については公民館、図書館などの公的な機関との関わりは小学校で6割程度だったが、児童館に相当する施設は2割、プレーパークや居場所事業は1割未満にとどまった。また未就学はプレーパークや居場所事業を「知らない」という回答が過半数を越え、活用が進んでいない実態が把握された。今後町田市での全市調査と千葉市、町田市での居場所へのヒヤリングを実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに実践活動と測定・調査を実施することができた。 実践活動では、地域のNPOなどの全面的な支援のもと、充実したプログラムを展開し、参加した子ども、家庭、施設から高評価を受けた。測定結果も介入群における活動の成果を確認できたことで、エデュケア・プログラムの効果が実証できたと言える。 当初想定していなかった成果としては、実践活動の最後に実施した小学校入学に向けての 活動の効果判定のための測定結果では、体力以外にGONOGO測定を実施している。介入群ではベースラインデータとの大きな差は観察できなかった。しかし、活用群では適応型がおおはばに増えるなど、プレーパークでの遊び活動は幼児期に継続的に行うことが大切である可能性が示され、こうした成果をプレーパークにフィードバックすることで、周辺の未就学施設との連携が促進されると考えられる。活動の中で、プレーパークでの遊びの場面を振り返るワークショップを展開した際に、子どもたちに絵を描いてもらったところ、体での表現が十分に行われたあとだったことで、自由に描くことが可能となり、子どもたちの多様な遊びの場面やプレーパークと各児の生活の関わりが表現されたことである。早朝から夜まで施設で過ごす子どもは「夜のプレーパーク」を表現し、親の仕事の関係で子どもの「遊び場面」が部分的に制限されてしまう実態が明らかになり、エデュケアの確立のためには社会全体が強力にワークライフバランスに取り組むことが必要であることを強く認識させられた。 さらに、今年度は小学校と未就学施設におけるつなぎプログラムの実態と評価の調査を自治体(千葉県千葉市)の全面的な協力のもと実施することができた。結果については一部をすでにフィードバックし、今後の施策への反映について検討いただいている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は研究対象としてきた子どもたちのうち、卒園時に同意が得られた子どもと家庭を対象に、入学後3カ月の時点で、適応や居場所活用に関する質問紙調査を行う。また、対象園の周辺小学校で、同様の質問紙調査を実施し、本研究において介入した結果が他の児童の結果とどのように異なるかについて検討する。 つなぎ教育に関する自治体調査については、調査が終了した千葉市において、すべての協力施設担当課対象の結果説明会を開催予定である。居場所の活用は広がっていないという実態について、市内の居場所事業においてヒヤリング調査を行う予定である。 さらに、町田市も千葉市の様子を聞いて、調査協力を確約しているので、夏休みまでに調査を実施する予定である。ふたつの自治体の結果の比較もできるようになり、双方へのフィードバックをより充実したものとすることができる見込みである。
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Causes of Carryover |
協力園の年間カリキュラムの関係で、遊び活動の実施回数が計画当初より少なくなったことで、活動をサポートしてくれるNPO法人への支払いが少なくなったことが最大の要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
つなぎプログラムの実態調査に協力してくれる自治体が複数になったので、調査票印刷やデータ入力、分析に関する委託費用が増すことが考えられるので、そこでの使用を計画している。またプレーパーク活用が幼児期の発育発達に良好な影響を与えることが示唆される結果を得たので、プレーパークと周辺園の協働連携を進めるための研修会等の企画につなげていきたい。
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Research Products
(4 results)