2014 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション能力育成のための体育モデル授業の構築
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25350728
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
日高 正博 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (80452853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 幸弘 宝塚医療大学, 保健医療学部, 教授 (00047391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニケーション能力 / 体育授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
体育授業におけるコミュニケーション能力育成のための基礎的知見を得るために,体育授業中のコミュニケーション・チャンネルの実態を捉えた。すなわち,昨年度と同じ2名の児童(コミュニケーション能力が高いと評価された子と低いと評価された子)を対象に,マット運動の授業におけるデータを昨年度中に得ていたので,本年度はそのデータの整理とともに,バスケットボールの授業の結果(昨年度の成果)との比較も行った。その結果,発言についてはH.Sのバスケットボールが223回,L.Sのバスケットボールが157回を示した。一方,H.Sのマット運動が100回,L.Sのマット運動が78回認められた。両種目ともH.Sの方が発言数が多く,両者ともバスケットボールの授業での発言が多かった。バスケットボールの発言内容は返事や指示が,マット運動のそれは意見・主張や質問,疑問の回数が上位を占めた。前者は状況が時々刻々と変化するゲーム場面で,短い言葉で端的に意味のやり取りを交わしていたのに対し,マット運動では技に挑戦する上で,自他の動作を言語化してやり取りを行う場面が多く認められた。身体接触では,両者ともバスケットボールの授業が高値を示した。バスケットボールでは,ゲーム中に一方的で瞬間的な身体接触が,マット運動では相互性のある身体接触が出現したと考えられた。 また,学習形態の違いがコミュニケーションの実態にどのような影響を与えるのかを調査した。すなわち,4年生児童2名を対象にグループ学習と班別学習で行われた跳び箱運動の授業で見られたコミュニケーション・チャンネルの実態を捉えようとした。その結果グループ学習で行われた授業は班別学習で行われた授業に比べ言語メッセージでの話し言葉や非言語メッセージでの表象記号,感情表示における「拍手」などの出現回数の多いことなどが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題採択と同時に他大学へ異動したことによる研究環境の変化が少なからず影響しており,成果の発表の部分で若干の遅れはあるが,全体的にはおおむね順調であると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
異動により研究環境が変化し,特に,授業実践を依頼できるネットワークの構築が本年度の課題であったが,ある程度目途がついたので,さらなる推進が図れるようにしたい。
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Causes of Carryover |
研究環境の変化によりデータを得る環境が当初の想定と異なっていることが大きな理由である。具体的には体育授業の実態を把握するための協力者のネットワークが十分に構築されなかったことにより,データを得るための機会が十分ではなく,データ整理のための人件費や授業で使用する物品費の支出が少なかったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度構築したネットワークを活用して授業実践を行う予定であるので,それに関わって人件費や物品費として使用する予定である。
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