2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350730
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
押野 修司 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80315712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発達障害 / 協調運動の困難さ / 全身反応時間 / 学校生活の質チェックリスト / 知能検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害のある児童の年齢、学年、診断名、主訴、全身反応時間、反応開始時間、協調運動検査、知能検査、学校生活の満足度のデータを収集し、発達障害のある児童の協調運動検査のデータと児童の年齢、学年、診断名、主訴、全身反応時間、反応開始時間、知能検査、学校生活の満足度のデータ間の関連性があるか個別的な検討を行い、協調運動に困難さのある児童の特徴を明らかにすることを目的とした。 被験児は、発達障害・情緒障害通級指導教室に通う8歳から12歳で、保護者から研究参加の同意が得られた12名のうち、小林‐Kiphard Body Coordination Testにより協調運動に困難があると判定した児童9名とした。男児8名(平均年齢10.1±1.3歳)、女児1名(11歳)であった。診断は、アスペルガー症候群2名、口唇口蓋裂・注意欠陥多動性障害の疑い1名、診断を受けていない児童6名であった。 測定項目は、保護者および在籍学級担任の主訴、協調運動検査(小林‐Kiphard BCT)、全身反応時間、反応開始時間(筋電反応時間)、知能検査(WISC-Ⅲ、又はWISC-Ⅳ)、学校生活の質チェックリスト(小学生版)(表ら、2008)とし、個々の児童について全データを、そのまま表示し、年齢標準値より低いデータについては、背景に色を付け、視覚化した。 その結果、全身反応時間については、9名全員が年齢標準値より低いデータであり、年齢標準値に比べ平均27.1%、全身反応時間に延長がみられた。学校生活の質チェックリストは、生活と環境、教師との関係では同学年の児童との差はみられないが、友達との関係では9名中2名、自分についての認識では9名中1名に得点が低い児童がみられた。知能検査では、9名中4名で、視覚刺激の処理を要する課題の得点が低い児童がみられた。また、知能検査で問題がみられない児童は、9名中3名であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
協調運動技能の獲得に困難さがある児童に対して、その協調運動能力の把握・分析および協調運動能力および協調運動技能の獲得過程を明らかにすることが、本研究の目的である。 しかし、児童の協調運動能力の現状把握の部分で、思いのほか時間がかかってしまっている。その原因として、まず反応時間測定で、反応開始時間の測定方法として、筋電反応時間を測定したが、実際に測定してみると筋電波形から筋活動の開始時期を読み取る基準に決まったものがないため、測定の再現性の面であいまいさを含んでいる点、および筋電図測定に、機器の設置、電極設置など、時間がかかるため、収集データの数に限界がある点である。 2つ目の理由として、当初は、児童の属性データが、運動検査データ、学校生活の質チェックリストのみであり、測定結果の解釈において、児童の他の側面との関連づけが十分にできないため、得られたデータを実践で役に立てることができにくい点である。 3つ目の理由として、運動能力の測定は行っているが、未獲得の運動技能が明確でない点である。 上記3つの理由から、当初の研究目的の達成度は遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究目的を達成するための方策としては、全身反応時間(反応開始時間)の測定方法の見直し、被験児の属性データの項目の見直し、被験児の未獲得の運動技能を調査を追加する必要がある。 全身反応時間(反応開始時間)の測定方法の見直しについては、標準データの測定方法を調査し、床反力から反応開始時期を判断する方法を検討する予定である。 被験児の属性データ項目の見直しについては、体格(身長、体重、BMI等)、知能検査(現状、WISC-ⅢとWISC-Ⅳが混在)データの収集(WISC-Ⅳに統一)、運動検査に下肢機能だけではなく、上肢機能も追加することを予定している。 被験児の未獲得の運動機能の調査については、児童、保護者との面談、未獲得の運動技能に関する評価方法の検討を予定している。 上記の方策を行ったうえで、児童のニーズ、保護者のニーズ、通常学級の担当教員のニーズについてケースフォーミュレーションの手法を取り入れ、個別検証型の研究方法に変更することも視野に入れ、研究時間を確保して、計画的に研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
児童の協調運動能力の現状把握の部分で、平成25年度のデータ分析に時間がかかり、平成26年度の研究計画がほとんど進んでいない理由による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
全身反応時間の測定機器を見直し、床反力から反応開始時間が判断できる機器に変更する。児童の属性データ項目を追加し、WISC-Ⅳ検査、下肢のタッピング測定機器の導入を行う。未獲得の運動技能分析のため、1秒間に200~300コマの撮影が可能なビデオカメラを導入する。 上記の研究計画の変更に伴う機器の購入に、次年度使用額を充当する。
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