2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の軽度認知障がいを検出する運動課題の設定とそのアウトリーチの試み
Project/Area Number |
25350885
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
重松 良祐 三重大学, 教育学部, 教授 (60323284)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知機能 / スクエアステップ / アウトリーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
認知機能は加齢とともに低下し、正常な老化と病的な変化との区別が困難な「軽度認知障がい」(Mild Cognitive Impairment, MCI)や認知症への移行率は極めて高い。そのため、MCIの早期発見は重要である。 国内外でMCIを検出する方法が開発されているが、時間がかかるという短所が指摘されている。また、「基本チェックリスト」でも実施率は30%程度と低い。一方、運動と別の作業を同時に実践するデュアルタスク(dual-task)は認知機能との関連性が強く、そしてMCI検出のスクリーニングテストとして活用できる可能性が高い。しかし、そのような検討はなされていない。筆者は高齢者向けの新しい運動種目「スクエアステップ」を連携研究者たちと開発した。本研究では、上記に示した問題点を解決するためにスクエアステップを採りあげ、認知機能の低下を鋭敏に検出するステップ・パターンを含むプロトコルの設定を目的とした。 認知機能の測定にはMontreal Cognitive Assessment(MoCA)を用い、25点以下をMCIである可能性が高いと見なした。スクエアステップでは10種類のパターンの成就を判別した。65歳以上の高齢者170名を対象にした解析の結果、75/76歳という年齢で高齢者を二分した後、前者にはパターン7、後者にはパターン5を適用し、成就しなかった場合、MCIである可能性が高いとみなせた。リーダーを58名養成し、アウトリーチを担う体制を整えた。 このように、本研究では簡易なプロトコルを設定することができた。スクエアステップは楽しみながらおこなえることも踏まえると、このプロトコルは高齢者の認知症予防の必要性に気づかせるという役割を担えよう。
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