2013 Fiscal Year Research-status Report
改良型二次元インゲルホスファターゼアッセイの確立とホスファターゼ研究の新展開
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25350978
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
亀下 勇 香川大学, 農学部, 教授 (60127941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末吉 紀行 香川大学, 農学部, 准教授 (90346635)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質リン酸化 / 二次元電気泳動 / プロテインホスファターゼ / インゲルアッセイ / 蛍光発生基質 / 翻訳後修飾 / 活性制御機構 |
Research Abstract |
本課題では、以下の2点に焦点を絞って研究を実施した。(1) 多様なホスファターゼをまとめて検出する改良型二次元インゲルアッセイ法を確立する。(2) CaMKPをはじめとして様々なホスファターゼの活性制御メカニズムに関する研究を発展させる。まず、(1)に関しては、なるべく多くのホスファターゼを検出する最適条件の確立と、その応用を試みた。蛍光発生基質として、MUP以外にも、DiFMUPなどの基質を使ってみたが、バックグラウンドが少ないこと、またシグナルが強いことなどからMUPが最も優れていることが判明した。また、中性バッファーで反応させてホスファターゼ活性を検出した後に、同じゲルをpH3のクエン酸バッファーに浸すことにより、酸性ホスファターゼの活性を検出できることを見出した。この二次元インゲルホスファターゼアッセイ法を用いて、ゼブラフィッシュ胚発生過程におけるホスファターゼの発現パターンの変化を観察してみた。24hpf、48hpf、96hpfと胚発生が進むにしたがって、検出されるホスファターゼの種類と活性が顕著に増大する傾向がみられた。(2)に関しては、CaMKPが酸化・還元によりその活性が制御されることが、インゲルアッセイで確認されており、その酸化還元制御に関わるCys残基もアミノ酸変異体を作製することにより決定することができた。また、CaMKP(PPM1F)以外のPPMファミリーのホスファターゼを取得して、それらの活性制御メカニズムを比較解析することにした。25年度は、まず大腸菌を用いて、PPM1A、B、D、E、G、J、K、L、Mの10種類のホスファターゼの発現を試みたところ、これらすべてのアイソフォームを発現し精製酵素を取得することができた。今後、これらのPPMアイソフォームを用いて、これらの酵素の活性制御メカニズムの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の年次計画に従って、(1) まず二次元インゲルホスファターゼアッセイ法を確立した。基質の検討や使用するメタルイオンの検討など、様々な反応条件を検討することにより、我々の可能な範囲での最適条件を確立することができた。様々な反応条件を検討する過程で、同一ゲルを用いて、2種類の条件(中性条件と酸性条件)で検出されるホスファターゼの活性発現パターン解析が可能であることを示した。この新手法を用いて、ゼブラフィッシュの胚発生過程におけるホスファターゼ活性の変動パターンを継時的に追跡することができた。これらの研究結果は、学術論文(J. Biochem.)として報告できたので、当初の二次元インゲルホスファターゼアッセイの確立という目標は達成できたと考えている。(2) CaMKPとその他のPPMファミリーのプロテインホスファターゼの活性制御メカニズムに関する研究についても、一定の進展が見られた。CaMKPの酸化還元による活性制御メカニズムに関しては、CaMKPのCys-359が重要な役割を果たすことを明らかにした。さらにその他のPPMファミリーのホスファターゼの比較解析を進める目的で、10種類のアイソフォームの取得を試みていたが、年度内にすべての酵素の精製標品を取得することができた。以上の進捗状況を総合的に判断すると、研究課題の達成度は、おおむね順調に進展していると評価できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、これまでCaMKPとCaMKP-Nを中心にして、ホスファターゼの解析を進めてきた。平成25年度に、これらのホスファターゼと同じファミリーに属するPPMホスファターゼの10種類のアイソフォームについて、大腸菌の発現系を用いて大量発現に成功し、それぞれの精製酵素を取得した。平成26年度は、まずCaMKPとCaMKP-Nの翻訳語修飾による活性制御ならびにオリゴマー形成あるいは複合体形成による可逆的な活性制御の解析を行う。また、昨年度新たに取得したアイソフォームとCaMKPについて、比較検討しながら解析を進める予定である。今回、取得したPPMファミリー酵素のうち、PPM1H、K、L、Mなどは、これまで十分な研究がなされておらず、それぞれの生理的な標的分子や、活性発現機序などについても未だ不明の点が多い。そこで、これらのホスファターゼについては、まずは基本的な酵素的性質の解析を行う予定である。それぞれの酵素の活性検出法を確立した後に、それらの酵素の酸化還元に伴う活性変動や、複合体形成と活性変化などの解析を行う。これらの解析には、インゲルホスファターゼアッセイ法が有効な手法となると思われるので、これまでに我々が確立したホスファターゼ解析技術を、これらアイソフォームの比較解析の際に活用したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算は適切に執行したが、次年度以降の研究計画をスムーズに実行するために、消耗品類の使用を節約しながら研究課題を遂行したために、予定よりも支出を抑えることができた。繰り越した予算は、26年度の研究を一層効果的に発展させる目的で活用したいと考えている。 研究計画2年目に入り、研究課題に取り組む研究室メンバーの仕事も軌道に乗ってきた。そのため、26年度は、研究をさらに発展させる目的で、様々な抗体の購入に予算を使用する予定である。また、台湾で開催される国際学会で研究発表を行うための、海外出張旅費としても、研究費を使用したいと考えている。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] An active C-terminally truncated form of Ca/calmodulin-dependent protein kinase phosphatase-N2013
Author(s)
A. Ishida, K. Tsumura, M. Oue, Y. Takenaka, Y. Shigeri, N. Goshima, Y. Ishihara, T. Hirano, H. Baba, N. Sueyoshi, I. Kameshita, T. Yamazaki
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Journal Title
Biomed. Res. Int.
Volume: 134813
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed
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