2016 Fiscal Year Research-status Report
公民権運動におけるNCNWの役割~ドロシー・ハイトを中心に~
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25360045
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
西崎 緑 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (00325432)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公民権運動 / 黒人女性 / NCNW / ドロシー・ハイト / YWCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、最終年度として研究成果の発表を行った。5月に開催された日本西洋史学会第66回大会(慶應義塾大学)において、ドロシー・ハイトと2つの組織についてのポスター発表を行い、研究者との意見交換を行った。また6月に開催されたアメリカ学会第50回年次大会において、YWCAの公民権運動の貢献について口頭発表を行った。それらの学会発表における質疑応答を通して、本研究について追加調査研究の必要性を得た。特に、ミシシッピ州においてNCNWが行ったプロジェクトについての白人女性の係わりやドロシー・ハイトらの役割、さらにフリーダムサマーにおける北部学生と地元の黒人女性たちとの係わりについて見解を明らかにする必要があった。そのため、年度後半に追加の調査研究を行い、検討を行った。
また学会発表の副産物として、他の研究者との交流が進み、公民権運動を同時期の全くことなる複数の社会運動との関係で捉え直しをすることとなった。その研究プロジェクトをスタートさせる計画が夏から秋に進み、平成29年度からの科研基盤研究Bの応募を行い、採択された。
本研究の成果として特筆すべきことは、当初あまり重きを置いていなかったYWCA of the U.S.が早い時期から人種統合活動を行っており、特に南部におけるYWCAの組織を説得するために会合を持ち、公民権運動への寄与をしていたことを発見したことであった。一般的にはむしろ保守的なキリスト教関係の女性団体を考えられているYWCAが、ドロシー・ハイトを得たことにより、人種統合の具体的方策をワークショップを進めることができたり、SNCCの学生達を資金的に応援することができたということがわかった。また、YWCAとNCNWの両方を掛け持つ形でドロシー・ハイトという存在が、全国組織同士の意思疎通を可能にしていたこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に行った学会発表の結果、追加の調査研究が必要となったため、それらの課題についての検討、修正を行うことになった。そのため、報告書の作成が平成29年度に持ち越されることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
公民権運動における女性の貢献を再評価することが本研究の趣旨であり、その点については、遅ればせながら、全国団体のNCNWの動きを中心に報告書を作成する。その上で、今年度からは、同時期の他の社会運動との連携と緊張関係についてのグループ研究を進めているので、その結果を待って、公民権運動と女性の係わりを相対化して捉え直したいと考えている。
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Causes of Carryover |
学会発表の結果、追加の調査研究が必要となったため、それを行ったことにより、報告書の作成が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
報告書の印刷製本代として使用する。(報告書原稿は7月までに完成させる予定)。
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