2013 Fiscal Year Research-status Report
女性医師がキャリアを形成するために必要な要素とは何か?
Project/Area Number |
25360049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
泉 美貴 東京医科大学, 医学部, 教授 (30228655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 志津子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (20569602)
檜垣 祐子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80189745)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性医師 / キャリア形成 / 離職 / 復職 / ワークライフバランス |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究では、「キャリアを継続することのできた女性医師」の経験を顕性化させ、キャリアの継続に必要な資質や行動パターンのうち一般化できる事象を抽出することを目的としている。本年度は質的調査として,医科大学で講師以上,病院で科長以上のポジションにある女性医師を対象に面接調査を実施した。 【実績】6名に面接調査した.平均年齢49.3才(41~60才),全員が既婚者,4名は子供がおり,介護中の対象者は2名だった.1)キャリア形成での困難:特にない;子育てのために離職した;大学内の権力闘争;妊娠時の嫌がらせ;責任ある地位と育児が負担で体調を崩した;子供の受験のため昇進を諦めた;留学できなかった.2)その対処方法:可能な仕事から始めて復職した;業績を上げた;職場の同僚の助力;置かれた立場で最善を尽くした.3) 継続できた理由:卒後数年の厳しい修練;卒直後の良き指導者;チャレンジした;上司・同僚の支援;家族の支援;家族の健康;両親の教育.4)共通する要素:楽天的でおおらか;趣味がある;問題を一人で抱え込まない;好きなことを希求する.5)後進へのアドバイス:医師として社会的責任を果たす;辞めない;毎日出勤する;何事にもチャレンジする;育児に時間を割かずに早期に復職する. 【考察】キャリアを継続できた女性達は,困難に対して存外「鈍感」であった.困難に臨んでは,他人に助力を求め,その時点での最善を尽くすことにより,キャリアを諦めなかった.成功の理由として,卒後初期に良い指導者に恵まれ,厳しい修練をしたことを評価していた.職場や家族からの理解や保育環境などを整える努力をしていた.後進には,競争から逃げずに挑戦し,キャリア形成を優先させたライフプランを選択することにより,医師としての社会的責任を果たすことを求めていた. 【成果発表】第45回日本医学教育学会大会における発表が確定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中の計画は,対象者にインタビューを実施し,まとめ,解析の後,結果を国内学会で発表することであった.インタビュー人数は当初30名程度を予定していたが,7名にとどまっている(うち1人は「キャリア形成に成功している女性医師」の定義に達していないため,有効調査人数は6名).インタビューの分担は当初,研究代表者が15名,分担者2名がそれぞれ7,8名を予定していたが実際には,研究代表者が7名,分担者はまだ取りかかることが出来ていない.インタビューの困難さとして,学内の女性医師を対象とすると,インタビューアーと親密過ぎることや,逆に家庭環境などを聞き取ることに精神的な抵抗がある事などからインタビューが躊躇された.また,インタビュー対象者が同じような分野に偏らないように配慮すると,対象とする範囲が狭まった.以上のような理由から,存外インタビュー対象者を選択することが困難であった. インタビュー結果のまとめと解析に関しては,これまでの6名のインタビュー内容は,ICレコーダーで録音され,業務委託して文字化(デジタル化)し,質的手法(グラウンデッド・セオリー)により解析した。解析には3名の研究者が携わり,概念をすりあわせながら進めた。このまとめと解析の過程は,予定通りに進行することができた. 結果の発信は,平成25年7月に和歌山医科大学が開催する,日本医学教育学会に演題を提出し採択されたため,計画通り達成できたと自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
4月~7月:当初はこの時期に,質的データ解析の続きと学会発表の準備を予定していたが,引き続きインタビューを実施することとする.目標は30名から20名に下方変更し,残る14名分のインタビューをこの時期に終了させる.研究代表者は15名を,研究分担者は2,3名ずつを達成目標とする.スカイプの利用や電話インタビューを取り入れ,インタビューの効率化を計りたい. 8月以降の計画(8月~11月:調査用紙作成:実施したインタビュー調査の結果をもとに欧米での先行研究の結果もふまえ、無記名自己記入式の調査用紙を作成する。12月~1月:倫理委員会への申請:量的調査(質問紙調査)の計画を東京医科大学の倫理委員会へ提出する。2月~3月:小規模パイロット調査:倫理委員会の許可が下り次第、少人数の女性医師を対象にした小規模調査を実施し、調査用紙の実施可能性を検討する)については,予定通りに遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主たる理由は3点である.1.平成25年度は面接調査(インタビュー)を社会調査士などに外部委託した場合,その委託費として300,000円を計上していたが,すべて研究者自身で実施した.2.質の高い研究にするため,社会調査および統計学の両専門家からアドバイスを得ることを予定し,相応の謝金を準備するため200,000円を計上していた.しかし,比較的短時間で簡単な内容であったことを理由に,両者ともに謝金を辞退された.3.成果発表ために,100,000円を計上していたが,発表機会とした第45回日本医学教育学会大会の開催が平成26年7月であるため,平成25年度内の使用費とはならなかった. 上記1~3の理由から,約600,000円が次年度使用額となった. 上記の1~3の理由別に述べる. 1.面接調査(インタビュー)は,当初30名を予定していた.平成25年度中に7名しか終了しなかったため,平成26年度には外部委託を利用するなどして,研究を促進させる必要がある.そのために計上している予算を使用する予定である.2.平成26年度も引き続き社会調査や統計学の専門家から,適宜アドバイスを受けながら,質の高い研究を施行していきたい.そのために次年度使用額分の予算を使用する可能性が高い.3.成果発表の予算は,平成26年度も同額を計上している.平成25年度分から繰り越される次年度使用額は,平成25年度に達成できなかった面接調査(インタビュー)を実施するための調査費・旅費に充てたい.
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Research Products
(1 results)