2014 Fiscal Year Research-status Report
19世紀末~第二次世界大戦期のフランス倫理学の展開とその現代的可能性
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25370002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村松 正隆 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (70348168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 浩二 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (20181901)
川崎 惣一 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (30364988)
村山 達也 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50596161)
越門 勝彦 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80565391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フランス倫理学 / ジャン・ヴァール / ポール・リクール / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2回の研究会を予定し、1回は実施したが、1回は交通事情のため中止のやむなきに至った。1回目は、2014年6月14日に東北大学東京分室で実施し、村山が「デカルトの暫定道徳について」、水野が「「主体性と超越性―ジャン・ヴァールのキルケゴール論をめぐって―」と題した発表を行った。村山はデカルトの暫定道徳の現代的可能性を論じ、水野は、ジャン・ヴァールのキルケゴール読解の概要を提示し、その可能性を論じた。また、2回目は、2015年2月14日に北海道大学で開催を予定し、川崎の「リクール正義論の意義と射程」、村山の「「倫理学における明証性――デカルトの事例から」、水野の「サルトル『主体性とは何か』をめぐって」の、三本の発表が行われる予定だったが、雪による飛行機欠航のため開催を断念し、メールによる意見交換を行うにとどめた。 なお、村松は、当研究を通じて得た知見を丸山眞男研究に適用し、その成果を、北海道大学とソウル大学との合同シンポジウムで発表した。ここでは、当該研究を通じて得られたナルシシズムの倫理学的批判を敷衍することで、丸山の超国家主義批判を再構成する試みがなされた。 また、越門はトゥールーズ大学での研修を行っていたが、この間、本課題に関連する研究にも従事し、これを通じて、ジャン・ナベールの自由論が人格の自由をめぐる議論一般にに新たな視点をもたらしうることを示した。 これらの研究を通じて、本研究が扱う当該時期のフランスの哲学者たちの議論が、心理学的・形而上学的観点から現在的意義を持つことが明らかになった。 また、アウトリーチ活動としては、村松正隆がアリアンス・フランセーズ札幌と協力して、2014年10月10日に、「「それは誤解です」となぜ言ってはいけないのか? ―誤解を巡る哲学と倫理」と題し、フランス哲学・倫理学におけるナルシシズムや自己言及の問題を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマの変更は多少あるが、定期的に研究会も開催しており、順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年7月に、これまでの研究の集大成として、北海道大学で、19世紀~20世紀のフランス倫理学の可能性を巡るシンポジウムを行う予定である。 また、フランスにおける19世紀フランス哲学研究の第一人者である、Strasbourg大学のLaurent Fedi氏と研究連携の可能性が出て来ており、シンポジウムの開催などを企画したいと考えている。
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Causes of Carryover |
分担者川崎が節約により発生した残金について、有効に使用するため、次年度にまわすこととしたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度において有効な用途でその経費を使用する
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Research Products
(9 results)