2014 Fiscal Year Research-status Report
欧州の木彫表現についての研究,および日本の木彫表現との比較
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25370157
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大原 央聡 筑波大学, 芸術系, 准教授 (80361327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河西 栄二 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (60302402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 芸術諸学 / 彫刻 / 木彫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では欧州において、石の文化のなかで育まれた木彫表現について調査・研究を行い、日本の木彫表現との比較を行うため、5年間の研究期間の内、4回の現地調査を予定している。平成26年度においては、その第2回目の現地調査として、6~7月にノルウェー王国(オスロ)、スウェーデン王国(ストックホルム)、チェコ共和国(プラハ)、スロバキア共和国(ブラチスラバ)、オーストリア共和国(ウィーン)の5カ国において、欧州の木彫作品について調査を行った。 ノルウェー王国ではヴィーゲラン美術館、国立美術館、歴史博物館、スウェーデン王国では大聖堂、北方民族博物館、国立美術館、現代美術館、チェコ共和国では国立美術館、スロバキア共和国ではスロバキア国立ギャラリー、ブラチスラバ市ギャラリー、オーストリア共和国では美術史博物館、アッパー・ベルヴェデーレ、レオポルド美術館等で調査を行った。 今回は欧州でも北欧と中欧を中心に実見調査を行い基礎資料とした。特にグスタフ・ヴィーゲラン(1869-1943)は塑造またはそこから素材転換を行った石彫の作家として有名であるが今回、チーク材による希少な木彫作品を実見することができた。ヴィーゲラン特有の細部を単純化し大きくまとまりのある石彫のフォルムとは違う木彫ならではの表現を見ることができた。また、チェコ共和国のフランチシェク・ビーレクの作品について日本ではほとんど紹介されておらず、画像を含め今回多くの資料を収集することができ、本研究を行う上で資料的にも意義深いといえる。 また調査と併行して、研究内容のひとつである木彫に関する造形的試みについて、研究代表者と研究分担者それぞれが実際に木彫制作を通して検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5年間の研究期間の内、第2回目の海外での現地調査を無事終えることができた。着実に研究資料を収集することができている。木彫制作を通した検討も進めることができている為、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
欧州における木彫について、作品及び作品に関する資料を収集するために、引き続き海外において調査・資料収集を行う。当初、平成27年度はイタリア中部と南部そしてフランス等において欧州の木彫作品について調査を行う予定であったが、調査を予定していた都市であるミラノは国際博覧会などと予定が重なり、非常に混雑が予想されることもあり、平成27年度と平成28年度の予定を入れ替えて調査を行う予定である。なお、予定の入れ替えにより研究の進行に支障をきたすことはない。よって、平成28年度予定していたアメリカ合衆国での調査を前倒しで行うこととする。欧州における木彫について、その欧州の木彫作品であっても重要な作品の一定数がアメリカ合衆国に渡っているため、作品及び作品に関する資料を収集するために、アメリカ合衆国の該当する施設や場所において調査を行う。フィラデルフィア、ワシントンD.C.等において木彫作品について調査を行う。 研究代表者の大原央聡は主に欧州の木彫表現全般について、さらに表現技法と彫刻素材である樹種とのかかわりについて調査を行う。研究分担者の河西栄二は主に寄木、内刳りの有無などと表現の在り方がどのように影響しているかについて調査を行う。その上で日本の木彫表現との比較を行う予定である。また、調査と併行して、研究内容のひとつである木彫に関する造形的試みについて、研究代表者と研究分担者それぞれが実際に木彫制作を通して検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間前半に計画していた資料整理、分析などを、ある程度資料が集まった研究期間後半に実施することとしたため、その人件費分等に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の人件費に充てるとともに、最終年度にも海外調査を追加する可能性もあるため、旅費に充てることも予定している。
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