2015 Fiscal Year Research-status Report
オーケストラ経営の課題と展望-東アジア地域における比較研究を通じて
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25370192
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
近藤 宏一 立命館大学, 経営学部, 教授 (50298717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長内 優美子 立命館大学, 経済学部, 非常勤講師 (80645036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本のオーケストラ / 台湾のオーケストラ / 香港のオーケストラ / 中国のオーケストラ / 関係性マネジメント / オーケストラ経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下のような研究活動を実施した。 1、台湾における民間オーケストラの生成、発展について過去に行ったインタビューおよび本研究において収集した資料による研究をまとめ、大学の研究紀要に投稿した。このなかでは、民間オーケストラの生成・発展期においてはオーケストラを実質的・精神的にリードする人物が重要な役割を果たす可能性があるとともに、その後継者の形成が課題となることなどが明らかとなっている。 2、日本のオーケストラについて、これまで収集した資料をまとめ、前年度に行った学会発表もふまえてその戦後の発展経過を「関係性」の視点からより精緻に整理する作業を継続した。特に「我が町のオーケストラ」的な地域の意識形成の重要性について一定の仮説を得ているが、なお研究が必要である。 3、中国のオーケストラについて近年の急速な発展をふりかえり、その契機としての「中央楽団」の解散および新興オーケストラの生成・発展要因をさぐるための資料収集を進めた。また、中国のオーケストラが今後多様な主体との関係性を形成する可能性を念頭に、北京航空航天大学における音楽ホールの活用状況についてインタビュー調査を行った。 4、香港のオーケストラの多様な関係性形成について資料にもとづく調査を進めるとともに、香港シンフォニエッタに対してインタビュー調査を行った。香港ではすでに外国人や上流層において一定の支持を獲得している香港フィルハーモニー管弦楽団があるが、それに対して二番手のオーケストラである香港シンフォニエッタが、企業や地域との関係をより重視していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象の地域のうち韓国についてのみ、言語的制約もあって資料収集がまだ不十分であることと、2015年度の課題であったインタビューの実施ができていない。 他の対象地域についてはおおむね順調に研究が進んでおり、2016年度中に研究をまとめるためになお必要な資料なども、十分に収集できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、これまでの研究をまとめ、書籍として刊行する準備を行う。 第二に、中国のオーケストラ研究のうえで、特に改革開放以前の音楽事情とその後の変化をふまえて現在の発展状況を検討することに力をいれる。キーパーソンとなる人物へのインタビューを実施し、具体的な情報を得る。 第三に、韓国でのインタビュー調査の実施に引き続き努力する。また、アルバイトを雇用して資料収集を加速させる。
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Causes of Carryover |
2016年6月に、中国において研究上重要なインタビューが行える見通しとなったため、研究機関の延長を申請し受理された。このため、このインタビューの実施に必要な費用を次年度使用額として繰り越した。また、韓国または日本国内でもなおインタビューを行う計画をしており、それの費用にも充当する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中国インタビュー調査 14万円 韓国または国内インタビュー調査 5万円(日帰り)
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