2015 Fiscal Year Annual Research Report
英国中世・初期近代・近代の文献に現れた占星術概念の歴史的変遷に関する概念史的研究
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25370261
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
田中 一隆 東洋大学, 文学部, 教授 (10227126)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西欧占星術概念 / 歴史的変遷 / ウィリアム・シェイクスピア / フランシス・ベイコン / 新しい宇宙観 / 科学的宇宙観 / Nature / astrology |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度に引き続き、Literature Online等のデータ・ベースからデータのダウンロードを行い、今後の研究のための一次資料の基盤整備を行った。一次資料データの基礎的な分析を行い、英国初期近代を代表する作家たちの作品において、占星術概念がどのような変遷の過程を示しているかについて、新しい知見を得た。ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)とフランシス・ベイコン(Francis Bacon, 1561-1626)の作品に現れる占星術概念の一つである”nature”の概念について分析を行い、シェイクスピアの語彙においては、この概念が古い宇宙観に基づいているのに対して、ベイコンの著作においては、それが新しい科学的な宇宙観の枠組みにおいて成立していることを明らかにした。西欧概念史の観点から見ると、”nature”の概念は、まず人間の生き方に関わる道徳的・倫理的な概念として出発し(典型的には「自然法」(”The Law of Nature”)の概念に現れている)、初期近代の時代に現在の「自然科学」("natural science”)における”nature”の概念、即ち、道徳的・倫理的な概念とは明確に区別された知的探求の対象としての「自然」("nature”)の概念が現れることになるのであるが、その端緒が英国初期近代を代表する作家であるシェイクスピアとベイコンの著作によって確認された。今後の課題としては、①近代的で科学的な”nature”概念の生成に、より古く、かつ極めて長い伝統を有する道徳的・倫理的な”nature”概念がどのように関わっていたのか(あるいは関わっていなかったのか)について、さらに詳細な検討を加えること、②二つの”nature”概念の近代的な展開についてさらに実証的な分析を行うことが必要である。
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Research Products
(2 results)