2015 Fiscal Year Annual Research Report
ルーマニア・ドイツ語文学にみる二つの「過去の克服」―ナチズムと社会主義独裁―
Project/Area Number |
25370337
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (80241561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道男 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20187769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ルーマニア / ドイツ / ホロコースト / ナチズム / 秘密警察 / チャウシェスク / 文化産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チェウシェスク体制崩壊直前から現在に至るルーマニア・ドイツ語文学の動向を整理し、同文学がナチズムと社会主義独裁という二つの「過去」とどのように向き合い、その「克服」を目指すなかで、どのような文学的表象を生み出しているのかを解明しようとするものである。 平成27年度も引き続き、1)1980年代以降のルーマニア・ドイツ語作家や詩人による著作の収集と整理、および、2)ナチ組織および社会主義独裁体制下の秘密警察にかかわる「過去」に関する作品分析を継続した。そのうえで、3)著作や未刊行資料の分析および面談を通しての、作家や評論家、研究者の問題意識に関する考察、4)2010 年秋以降、秘密警察との関係をめぐって公の場で頻発しているルーマニア出身の作家、評論家、研究者相互の対立、5)作品や作家、4)で挙げた事態に対する読者層の理解と反応、に重点を置いて、分析と考察を進め、まとめの議論を行った。 研究代表者は作家E.シュラットナーと2度にわたって面会し、研究協力者と共同で考案した質問事項を踏まえ、長時間のインタビューを行った。研究分担者はこのインタビュー内容を踏まえて、テクスト分析を行った。さらに研究代表者はルーマニア・ドイツ語文学の専門家であるベルリンのフンボルト大学ドイツ文学科研究員M.ノヴォトニク博士との研究協力体制を確立した。H.ミュラーのテクスト分析を行う一方、作家C.シュテファーニからの情報提供を受け、状況の分析を進めた。なおノヴォトニク博士は2018年3月に東北大学を来訪し、本科研プロジェクトの公開研究会の一環として、講演を行った。研究分担者はオーストリア国立図書館でナチズムの過去に関わる資料の最終確認を行った。 研究代表者は成果を7月に女性ドイツ文学研究者の会の招待講演として発表した。また論考が、東北ドイツ文学会学会誌で発表される見通しである。
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Remarks |
ルーマニアで刊行されているドイツ語新聞「ルーマニア一般ドイツ新聞(Allgemeine Deutsche Zeitung fuer Rumaenien)」に掲載された作家C.シュテファーニによる研究代表者の長文インタビュー。日本におけるルーマニア・ドイツ語文学研究および本研究の遂行者2名の研究成果について詳述した。
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Research Products
(3 results)