2013 Fiscal Year Research-status Report
清末民国初期華英言語接触所産の華語の特徴についての実証的研究
Project/Area Number |
25370500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢放 昭文 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (20140973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 光世 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (50411012)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 清末民国初期 / 英華言語接触 / 粤語漢字音 / 付加記号 / 字音表記史 / 歐化語法 / 王力 / 徐志摩 |
Research Abstract |
清末英華対音資料の一つ唐廷樞(1832-1892)著『英語集全』は粤語音字の独自用法に拠り詳細に英語音を標記する。中古来母字右側に小円を付加し英語/r/音を表記する方法は、所謂唐音資料(日本)の平仮名、片仮名に附される濁点・半濁点と同様の着想に基づく点を踏まえ、その実態調査を目的として【論文】「薩道旧蔵《聚分韻略》的“日訳唐音”」を執筆した。結果には一層の分析が必要であり、字音表記史上の特色ある方法として研究を継続する。 【研究発表】1、「『英語集全』与『英華分韻撮要』」第18届国際粤方言研討會(香港科技大學・中華人民共和国・香港特別行政区)2013年12月(単独)は『英語集全』内包の2種類の言語情報;ラテン字母標記粤語音と漢字標記の英語音、のうち前者の音韻要素は23声母であること、/a/母音の長短標記等に用いられる方法はSamuel Wells Williams(1812-1884)著『英華分韻撮要』と同一であることなどに基づき、両者の密接な関係を論証し発表した。【研究発表】2、「《英語集全》的基礎方言是否就是中山方言?」NACCL-25(第25回北米中国語言語学会議・ミシガン大学・アメリカ合衆国)2013年06月(単独)は『英語集全』が英語の強弱アクセントを粤語音字の「上(陰)平・下(陽)平変読」注記により表記している点についての分析結果を研究発表した。いずれの発表内容も清末華語を母語とする唐廷樞の英語学習(接触)過程における華語の所産を実証的に解明するうえで重要な価値を持っている。 以上の論文1点・研究発表2点は研究代表者H25年度の研究成果である。 研究分担者の研究成果はH25年度内公表に間に合わなかったものの、清末民国初期の歐化語法研究については先行研究を踏まえつつ、研究対象を具体的に絞り着実に進んでいる。H26年度早々には研究発表および論文投稿の準備を整えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の分担分野「清末民国初期華英言語接触史における音韻面の研究」については計画通りにほぼ達成している。『華英通語』(五種)『英語集全』など19世紀中葉に通行していた清末英華対音資料がもたらす粤語音字の音韻分析についいては、研究発表2回、投稿中の2篇を含めH26年度末には計6篇の論文が揃う予定である。分担者の分野「歐化語法」についても、H25年度内の研究発表は実施できなかったが、この分野で重要な先行業績の「歐化語法研究」を十分に咀嚼しつつ、分析対象として五四時期に活躍した文学者の代表的著作に見いだせる歐化語法の例文を集積しており、H26年度中には研究発表1~2回、論文1篇を公刊する準備が着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は東方語文学院図書館(パリ)等において一層の資料収集と分析を行うとともに、最終年度の報告書作成準備を進めることを目的として論文執筆(3点)と研究発表2回を予定している。特に19世紀中葉に刊行された5種類の『華英通語』が反映する「英華言語接触の華語の所産」の様相、および魏源『開国図志』の音訳漢字が反映する華英言語接触前期の様相を実証的に解明し結果集約を遂行する。 研究分担者はロンドン大学ジョンストン文庫所蔵清末民国初期歐化語法資料の詳細な検討を通じて、従来の歐化語法研究が到達していない領域を開拓することをH26年度の主な課題としている。
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Research Products
(3 results)