2013 Fiscal Year Research-status Report
在外ベトナム人の言語動態観察によるベトナム語の言語変容の記述と解明
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25370504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
田原 洋樹 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (60331138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チャン ティ・ミン・ヨイ 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 講師 (80646125)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベトナム語 / 在外ベトナム人 |
Research Abstract |
1.事前調査と考察を踏まえて、オアフ島内各地のベトナム系住民に聞き取り調査を実施した。(1)ベトナム戦争終結約40年であるが、ベトナム人の帰属意識や母語としての言語感覚は急速に変化している。ベトナム語を話せても、読み書きに困難を伴う世代が発生していること、新旧正書法が入り混じり、母語としての自分のベトナム語に自信を失った世代がある。(2)現政権に対する強硬な対決姿勢を示す人々の死去、高齢化が相当なスピードで進み、当事者たちも困惑している。(3)壮年以下の世代ではベトナム本国との往来が一層活発化している。また、インターネットを利用した情報発信および情報交換が盛んになり、いわゆる『亡命歌手』たちのショーや舞台をリアルタイムで鑑賞することも可能になった。 2.ベトナム社会主義共和国南部(殊にホーチミン市)での言語生活を観察、調査した。(1)語頭子音や「わたりの母音」などに観察された南部方言特有の現象が、若い世代を中心に急速に消失している。このような独特の音韻現象は、いまや「田舎っぽい」とか「古い世代の言語」として敬遠されている。(2)メディアにおける言語では英語侵入が著しく、ベトナム語純化を指向する中高年以上の世代は苦々しく感じている。 今年度の聞き取り調査や現地での観察により、上記のような成果を得ることができた。また、調査地での仕事や、下調べの段階では、以前には探し当てることができなかった文献、エスニックメディアに接することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外国での調査や観察が順調に進んでいること、研究成果発表の目途がついていることから、おおむね順調に推移していると思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続きベトナム本国での言語生活観察、アメリカ合衆国(本年度は本土を予定)での聞き取り調査を実施して、より幅広くデータを収集する。 ・昨年度に続き、研究集会を随時開催して、意見交換の場を充実させる。また、雑誌への論文投稿を予定している。
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Research Products
(3 results)