2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の母語場面・接触場面を対象とした対話コーパスの構築と分析
Project/Area Number |
25370574
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
澤田 浩子 筑波大学, 人文社会系, 講師 (70379022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 涼子 山口大学, 留学生センター, 講師 (10598759)
俵山 雄司 群馬大学, 国際教育・研究センター, 講師 (30466685)
石黒 圭 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (40313449)
柳田 直美 一橋大学, 国際教育センター, 講師 (60635291)
庵 功雄 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (70283702)
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)
宮永 愛子 関西学院大学, 日本語教育センター, 講師 (70707629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本語教育 / シラバス / 対話コーパス / 接触場面 |
Research Abstract |
1. 対話コーパスの構築に向けて、データ収集の方針を決定した。 対話場面は、長談話場面4場面(①説明、②話し合い、③相談、④資料へのコメント)と短談話場面3場面(⑤伝言、⑥弁明、⑦訂正求め)を選定した。話者は日本語母語話者に加え、日本語非母語話者として、中国語母語話者、韓国語母語話者、東南アジア圏話者、欧米圏話者の4タイプ、それぞれ中級・上級の2レベル、計8カテゴリーを設けた。それぞれに(A)日本語母語話者と日本語非母語話者が日本語で対話する「接触場面」を7場面20ペア(中国10、韓国4、東南アジア圏3、欧米圏3)の計140件、(B)日本語非母語話者どうしが母語で対話する「母語場面」を7場面20ペア(中国10、韓国4、東南アジア圏3、欧米圏3)の計140件、(C)日本語母語話者どうしが母語で対話する「母語場面」を7場面10ペアの70件、総計350件の対話を音声及び映像で収録することとした。 2. データ収録に必要な資料の作成と、データ収集を行った。 実際のデータ収集に必要な資料(「対話コーパス収録調査実施手順」「対話コーパスのロールカード」「フェイスシート(実験協力者調査票)」「インタビューシート(対話終了時の調査票)」「調査協力・データ提供の承諾書」)を作成し、「対話コーパスのロールカード」「フェイスシート(実験協力者調査票)」「調査協力・データ提供の承諾書」については英語訳、中国語訳を行った。さらに中級レベルの日本語非母語話者へのインタビューでは必要に応じて通訳をつけ、インタビューが確実に行えるように配慮した。 また「(A)日本語母語話者と日本語非母語話者が日本語で対話する「接触場面」」のデータ収集を開始し、7場面20ペア140件のデータのうち、現在96件(中国:中級30・上級33、東南アジア圏:中級2・上級12、欧米圏:中級12・上級7)の収録が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画として、(1)データ収集方針の策定、(2)対話データ収集の開始、(3)収集したデータのコーパス化の方針策定(文字起こし、タグ付け等)、(4)日本語非母語話者へのレベル判定テストの導入検討、(5)人権保護等に関する対策の検討、を挙げていた。 このうち、(3)については一部、現在も検討中であるが、(1)、(4)、(5)についてはすべて達成できており、実際にデータ収録に着手できる段階まで作業を完成させることができた。特に(1)データ収集方針の策定は、場面の選定からロールカードの作成・確定まで、対話コーパスの根幹となる重要な作業であり、今年度の大きな成果といえる。また(2)についても平成25年度内の予定の大半の収録を完了しているなど、全体の計画として概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に行う研究は、主に以下のとおりである。 1. データ収集の継続 対話データの収集を継続して行い、(A)日本語母語話者と日本語非母語話者が日本語で対話する「接触場面」に引き続き、(B)日本語非母語話者どうしが母語で対話する「母語場面」、(C)日本語母語話者どうしが母語で対話する「母語場面」にも着手し、平成26年度内のデータ収集完了を目指す。 2. コーパス化の方針策定と作業の開始 平成26年度は、コーパス化ワーキンググループの活動を本格的に開始する。発話データの文字起こし方法として「改訂版:基本的な文字化の原則(Basic Transcription System: BTS)」を採用し、その他どのようなタグ付けが必要であるかなどコーパス化の方針を議論し、タグ情報の選定を行う。次に、実際の文字起こし作業とタグ付け作業を進める。また、そこでの成果をもとに、平成27年度(最終年度)にはデータ収集の完了と、コーパス化作業の大半を終え、対話コーパスに基づいた日本語教育シラバスの検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費のほとんどをデータ収集のための協力者謝金として計画しているが、平成25年度は本研究課題の初年度として、データ収集方針の策定に時間がかかり、データ収集に着手できた時期が、当初の予定より少し遅れた。そのため、データ収集には取りかかれているものの、実際にデータ収集が終了し、謝金の支払いまで完了していない協力者があり、全体として支出額が当初の予定より少なくなった。 データ収集の方針策定は終了し、データベースの構成内容も確定したため、平成26年度は協力者の募集とデータ収集に専念することができる。平成25年度に未実施であった分を併せて、平成26年度に実施する予定であり、次年度使用額のほとんどは、その謝金として支出される計画である。
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