2015 Fiscal Year Annual Research Report
「生活者としての外国人」支援のための公共サイン(看板・掲示物)調査研究
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25370587
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
本田 弘之 北陸先端科学技術大学院大学, 先端領域基礎教育院, 教授 (70286433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 秀男 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (00407066)
岩田 一成 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70509067)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 公共サイン / 国際共通語としての英語 / 表記の多言語化 / ピクトグラム |
Outline of Annual Research Achievements |
「生活者としての外国人」への効果的支援をおこなうための基礎研究として、日本と海外の公共サインのあり方について、その「質」と「量」を調査・分析した。 平成27年度は、8月に研究代表者および2名の研究分担者が、北欧4か国を訪問して調査をおこなった。短い調査機関であったが4か国すべての首都の空港とそこにアクセスする交通機関の駅、そして首都の中央駅および代表的な地下鉄駅、繁華街、ショッピングモールなどで公共サインを中心に掲示物を撮影した。その枚数は3000枚を超えた。 撮影した映像は、本田が「非母語話者に対する言語的障壁」、岩田が「平易な言語表現」、倉林が「英語による効果的な情報伝達」という観点から分析・評価を行なった。さらにその分析結果について、意見を交換した。 その結果、世界的に公共サインの掲示には①英語表記を指向するパターン ②多言語表記を指向するパターン ③言語によらずピクトグラム表記を指向するパターンという、三つのパターンがあることが明らかになった。このうち①は英語の読解力を要求し、母語話者を著しく優位な立場に置くという点で、多くの問題がある。②は日本に特徴的にみられるパターンであり、世界的には珍しい。ただし、情報伝達性という観点からみると不合理が大きい。③は複言語主義を掲げ、実際に複言語環境にあるヨーロッパに卓越するパターンであり、最も合理的な情報伝達になる可能性が高いと考えられる。 この結果は、社会言語科学会第36回大会(京都教育大学)で発表した。さらに、平成28年6月の日本文体論学会では招待講演として「災害時の公共サイン」のありかたを本田と岩田が発表する(確定)。また、現在、3年間の研究成果を書籍として公刊する準備をしている。
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