2013 Fiscal Year Research-status Report
複数言語環境における子どもの言語習得支援ポータルサイトの開発と運用に関する研究
Project/Area Number |
25370598
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
鈴木 庸子 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (00216459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CLD児 / 多文化多言語環境 / ポータルサイト / 母語育成 / 日本語育成 / マルチリンガル / バイリンガル |
Research Abstract |
平成25年度はポータルサイト「Harmonica」を構築した。URLはhttp://harmonica-cld.com/である。「子ども・生徒」「保護者」「先生」「研究者」「ボランティア」「行政関係者」の6つの大きなユーザーを項目としてたて、それぞれのユーザーに必要なウェブサイトを集めた。「子ども・生徒」にはCLD児が自分で母語を学んだり日本語を学んだりするために役に立つウェブサイト(日本語が母語の場合もある)、「保護者」には、国内の場合は外国人にとってなじみのない日本の学校制度の解説や母語の重要性について啓発するウェブサイトやそれぞれのコミュニティのウェブサイト、「先生」には日本語を教えるためのカリキュラム、方法、教材、オンライン利用できるツール、アセスメントツールなどを紹介した。「ボランティア」は国内各地のボランティアグループのウェブサイト、教材など、「研究者」はこの分野の研究者や機関のウェブサイト、論文などの紹介をしている。「行政関係」では、日本や海外においてCLD児の教育を担う機関、外国人支援を行う機関などを紹介した。直接70件のウェブサイトにリンクし、さらに50件のウェブサイトを集めた。 8月に海外継承語教育分野と国内年少者日本語教育分野の実践者が30名ほど集い、情報交換をする勉強会を、3月には特別講演会「バイリンガル作文力とアイデンティティテキスト」(講師中島和子、参加者100名余)を実施しポータルサイト「ハーモニカ」を紹介した。その中で、ポータルサイトに必要な情報を確認した。 4月、1月、3月に専門家からウェブサイトの構成や内容について示唆を受け、その知見はポータルサイトに反映させた。「CLD児の言語を健全に育成し社会に貢献する」というポータルサイトのビジョンが明確になり、ポータルサイトはこの分野の構造を体系化する意味があることを認識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画の遅れているところは、正確なニーズ調査である。その理由は、25年度中に試用段階までポータルサイトを完成できなかったことによる。当初は、ニーズ調査を行い、そのうえでポータルサイトを構築することを想定していたが、実際には、ポータルサイトの試用版を完成し、ポータルサイトのイメージをつかんで利用したうえでなければ、さらにどのような情報があるとよいかを問うことが難しかった。そのために、充分なニーズ調査にふみきることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ポータルサイト構築の継続:「ハーモニカ」をユーザーごとに閲覧してもらい、それぞれのユーザーのニーズを満たしているかどうかのインタビュー調査を4月~8月まで計画的に実施する。その調査結果をもとにリンク先を継続的に追加する。 2.研究計画の再構築:「ハーモニカ」に掲載する情報をユーザーごと、カテゴリーごとに整理し、タグをつけていくことは、この分野の情報を体系化するということである。また、海外の情報を収集することは、日本国内で知られていない海外事情を紹介する展望研究ととらえることが出来る。今後、情報の体系化と海外事情調査を研究成果としてとらえる視点を計画に組み込む予定である。 3.「ハーモニカ」の評価:26年4月時点で完成している「ハーモニカ」(試用版)をもとに、関心のある人々が集まる機会を利用して「ハーモニカ」の紹介と利用者からの質問や感想を収集し、その後の改良作業に反映させる。これらの機会に接点を持てた個人の中で協力者をつのり26年度後期にアンケート調査、インタビュー調査を通してより詳細な評価を行う。評価には、「ハーモニカ」の完成度を評価するのみではなく、「ハーモニカ」を通して何を学ぶことができたか、「母語育成の重要性に関する意識の啓発」に資することができたかどうかを評価の観点に入れるものとする。26年度後半にプログラム評価の専門家による評価を依頼する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が生じたもっとも大きな理由は、ポータルサイトの納品が年度末となり、業者への支払が年度中に行えなかったことにある。他、3月下旬に招聘した研究協力者への謝金も年度を超えての支払いとなった。 上記残額についてはいずれも4月上旬に支払済みである。その他今年度配分額は予定どおり海外招聘旅費、専門的知識提供への謝金およびポータルサイトメンテナンス等に使用する予定である。
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