2013 Fiscal Year Research-status Report
インプットを重視した処理指導の日本語教育現場への応用に関する研究
Project/Area Number |
25370611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
中上 亜樹 国士舘大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90581322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜木 ともみ 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (80643808)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 処理指導 / 指導の効果 / 文法項目 |
Research Abstract |
本研究は、第二言語習得研究の成果をもとに考えられ、外国語習得に効果があると言われているインプット理解活動を中心とした「処理指導」という指導法を取り上げ、その「処理指導」を日本語教育の現場へ取り入れる際に、どのように行えばより効果的かについて、実験的な手法を取り入れ明らかにすることが目的である。 一般的には、文法説明を行った後口頭練習を行い、最後の確認に聴解練習を行うことが多いと言われるが、この聴解練習をより効果の高い「処理指導」の理解練習に置き換えた場合、理解を定着させるために口頭練習を行う前に行うのと、現在の指導と同様に、確認として授業の最後に行うのとでは、学習者の理解面、産出面で何らかの違いがあるのかどうかという点について明らかにしたいと考えている。 3年間の研究計画のうちの初年度である平成25年度は、主に、平成26年度以降に行う実験調査の準備を行った。対象とする文法項目の選定については、先行研究やコーパスなどの分析を行い、いくつかの項目を候補として取り出した。その後、複数の日本語教員に対して聞き取り調査を行い、実際に学習者にとって難しい項目、候補以外に適切な項目について挙げてもらい、最終的に2項目に絞った。調査方法についても、分担者とともに話し合い、PC上でどのような教示で実験を行うのかについて検討を行った。 これまで研究代表者が行った処理指導に関する研究において、文法項目により処理指導の効果の大きさに違いがみられる可能性が示唆されている。このため、平成25年度に行った文法項目の選定は、本研究の非常に重要な部分であると考えられる。研究分担者との検討だけではなく、処理指導について専門的な知識のない日本語教員からの意見を取り入れたことは意味があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は、1)指導の効果が期待できる文法項目の選定、2)指導の効果を測定する方法の検討、3)実験調査で使用する教材ビデオの作成であった。1)については、これまでの先行研究や日本語教員からの聞き取り調査によって2項目に絞ることができた。2)については、評価指標を専門とする研究分担者によって適宜行われている。3)についても、実験調査の実施に向けて現在行っているところである。 また、文法項目の選定に関して、2014年7月にシドニーで行われる日本語教育国際研究大会でポスター発表を行うことが決まっており、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、主に実験調査を行う予定である。 まず、実験手順や実験内容の確認のために予備調査を行う。実験調査での問題点を修正・確認したのちに、本調査を行う予定である。 本調査では、学習者を日本国内外からできるだけ多く集めて行いたいと考えている。実験調査では1人1台のPCを使って行うためデータ収集に時間がかかることが予想される。できるだけ早く実験の準備を整え、本調査を始めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者2名を予定していたが、出産・産休で1名が抜けたため、1名分の物品費と打ち合わせのための旅費の支出が減った。また、実験調査のために実験ソフト(SuperLab)を購入する予定であるが、ソフト販売会社に問い合わせたところ、Windows8に対応しているかどうかが分からないということであったので、対応が確認できるまで購入を見合わせている。 平成25年度からの繰り越し分については、今年度から新しく調査・分析を担当する研究分担者を1名追加することになったので、調査に必要な物品を購入してもらう。また、実験ソフトについても、Windows8への対応が確認でき次第購入予定である。もし、確認に時間がかかるようであれば、PCをWindows7へダウングレードどした上でソフトを購入することとする。平成26年度分については、計画通り予算執行を行う。
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