2015 Fiscal Year Research-status Report
シティズンシップ論へのコミュニケーション学的アプローチの模索
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25370724
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
藤巻 光浩 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50337523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 千賀子 文教大学, 国際学部, 准教授 (40302343)
青沼 智 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50306411)
森泉 哲 南山大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60310588)
福本 明子 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70387835)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 欠如モデル / 複言語主義 / 論争とディベート / 他でもあり得た可能性 / 記憶のシティズンシップ / 草の根交流 / スピーチ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、本研究の3年目にあたり、「修正・発展期」として位置付けている。12月に日本コミュニケーション学会の支部大会を利用し、シンポジウムを開催した。藤巻は、科学館や原発付設PR館における科学知展示が、知識のトップダウンとも言える「欠如モデル」に基づいていることを指摘し、それを是正させるための方法論的視点を提示した。山脇は、日本在住の外国籍の子供たちが抱える問題を指摘し、複言語主義の重要性を提唱した。福本は、「終戦70周年談話」を研究の対象とするのだが、総理大臣ではない人々が作成した談話に着目し、談話内容が他でもあり得た可能性を追求した。それぞれが、具体的なコミュニケーション実践に着目することによって、シティズンシップ教育を構築するための条件を提示したとも言える。 個々の研究に目を移せば、藤巻は、著書において、記憶という過去とのコミュニケーションが、歴史ミュージアム(米国ホロコースト記念博物館:The US Holocaust Memorial Museum)という啓蒙・教育を行う場所において、どのように人々の帰属意識が生み出され、または齟齬を来すのかを。記憶のシティズンシップに関係する問題として記述・分析・批評した。 また、青沼は、米国の高校・大学におけるディベート教育/教育ディベートが、第二次世界大戦後の日本の中等・高等教育の発展に与えた影響について考察し、そこで育まれた草の根交流が、国民国家・国家政府の枠組みに捉われないシティズンシップ教育として模索され続けるべきであると論じた。 そして、福本は、「戦後70周年」に当たりだされたような談話とは、誰のものなのか、含むべき要素は何であるのか、歴史や集団の記憶を取り上げる際に「シティズンシップ教育」に必要な観点は何であるのかを洗い出し、談話の分析やスピーチ教育がシティズンシップ教育となり得ることを記した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年の目標に向け、順調である。 1.計画段階において、今年度は、国際コミュニケーション学会(ICA)にて報告を行う予定であったが、計画段階で年度を間違えて記憶しており、この学会は、H28年度に開催される。そのため、ICAでの報告は今年度はしなかった。 2.JCA中部支部大会を利用した研究会は、広く広報を行い、あらかじめ用意したそれぞれの論文も公開した上で行ったシンポジウムであった。単に、研究の中間報告という事実だけでなく、お互いの研究に対しても、貴重なフィードバックを受ける機会となった。当初、H28年度に予定されていたシンポジウムは、今年度のもので置き換えるものとする。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本年度の研究会における、それぞれの報告で、各自が順調に研究を推進していることが分かったため、このまま、各自が成果を出すべく研究を展開させていく。 2.ICAで、このメンバーでパネルを組むことはなくなったが、それぞれ、ICAやそれぞれの学会で、口頭報告などをしていく。 3.次年度においては、各自が、研究成果を学会誌などに掲載してゆくための準備を始める。 4.次年度に、シンポが計画されていたが、本年度、シンポも兼ねた研究会を行ったために、これは行わない。
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Causes of Carryover |
H27年度に、国際学会である、国際コミュニケーション学会(ICA)に参加する予定であったが、H28年度に参加すことになったため、海外出張にかかる経費がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度の、各自の研究に役立てることとする。
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Research Products
(8 results)