2014 Fiscal Year Research-status Report
産業組合におけるムラ社会の基盤と断層-東アジアにおける個と組織の視点から-
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25370777
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
勝部 眞人 広島大学, 文学研究科, 教授 (10136012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 健二 下関市立大学, 経済学部, 教授 (60225034)
弁納 才一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (90272939)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業組合 / 金融組合 / 合作社 / 基層社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究者と合同の研究会を実施して、戦前日中韓3国の農業協同組合に関する議論を行った。組合の成否を伝統的村落社会(基層社会)のありようがどこまで規定するのか、組合運営の実態如何が議論の焦点となったが、その際成否の判定基準をどこに求めるのかについても問題となった。 組合解散率が成否の基準の一つになることはまちがいないものの、日本の場合解散率は高いと指摘されながらも、一方で組合全体としては成功したという評価がなされている。逆に韓国での金融組合は、解散率が0に近いものの、日本人理事・役員と一般組合員との間で紛争が絶えなかったという事情もある。中国合作社では、解散率も高いうえに、組合員の動きもきわめて流動的で、利益が見えなければ簡単に消滅してしまう等の状況があった。いずれにしても、できる限り個別組合の運営実態に迫る努力が必要となることが確認された。 日本の場合では、日露戦後の産業組合監督復命書(秋田県)や昭和12年(1937)の一斉監査調書(山口県)等が残されていることから、個別組合をある程度“面的”に検討していくことが可能である。そこには、一見良好に運営されていても、官側の視点から見るとかなりさまざまな問題をはらんでいる状況が記されている。その辺りを少し整理していく必要がある。 また、それらの問題を初め組合が抱えていた諸課題が那辺から生じていたのかについても、検討していく必要がある。ただし現在のところ、問題の背景となった村落社会の伝統的なありようとの関連性を直接的に物語る史料を、まだ見出し得ていない。そうとう調査を重ねているが、未だ発見できていない状況である。残された時間で、もう少し努力を積み重ねていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産業組合など組合主義の背景を物語る村落社会・基層社会の動きを明らかにする文字史料が、かなり調査したもののまだ見出し得ない状況にあるため。ある程度予想はしていたものの、かなり厳しい状況にあることはまちがいない。
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Strategy for Future Research Activity |
背景を示す直接的な史料を発見できない場合でも、間接的な史料(たとえば地域産業の動向を物語る史料や比較的近隣地域の村治状況などを示す史料など)によって、一定の類推を行っていくこともやむを得ないかと考えている。
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Causes of Carryover |
公務(研究科長職に基づくもの)による海外出張が立て続いて、中国・韓国への調査が実施できなかったことと、それにより史料整理等のアルバイトを依頼できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、昨年度ほどの海外出張が予定されていないため、中国・韓国での調査を実施して、アルバイトを雇用して史料整理を進めていきたい。
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