2013 Fiscal Year Research-status Report
オスマン朝アジア境域のフロンティア社会―アナトリア南東部の地域史の解明を目指して
Project/Area Number |
25370825
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
齋藤 久美子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90432046)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | オスマン朝 / アナトリア南東部 |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は次の通りである。七月中旬に「アレヴィー/ベクタシ研究会」を開催し、清水直美氏と安田慎氏によるイランとシリアの聖所と参詣行動に関する研究発表に引き続き、トルコとの比較考察を行った。とくに研究代表者の研究対象地域であるトルコ南東部に所在する聖所の「場所性」について、イランとの類似性を確認できたことは重要な成果であった。また、研究会の内容を報告書(佐島隆・齋藤久美子編、『聖所と参詣行動』、アレヴィー/ベクタシ研究会、2014年)にまとめた。資料収集については、夏期に三週間ほどトルコとドイツに出張した。トルコ南東部のヒザン地方での視察では、城塞・イスラーム学院・墓地・隊商宿・橋梁・教会・聖廟等の史跡に加えて、近世より現在にいたるまで存続する古い村々や夏営地を回って聞き取りを行った。史跡については画像データに取り込み、四年前の視察の際の画像データと比較し外観の変化等について検討を加えた。今回は史跡の碑文を確認することができなかったが、墓碑については二カ所で画像データを収集した。イスタンブルでは、首相府オスマン文書館で近世以降のヒザン地方の歴史に関する文書史料を収集するとともに、イスラーム研究センター等でオスマン史やトルコ南東部の地方史に関する文献を収集した。ベルリンでは、オスマン文学の研究者と墓碑の読解等について意見交換をしたほか、アナトリア南東部出身者が居住する地区で聞き取り調査等を行った。冬期にも三週間ほどトルコに出張し、主にイスタンブルの首相府オスマン文書館で近世以降のヒザン地方の歴史に関する文書史料を収集するとともに、オスマン史・ヨーロッパ人の旅行記・トルコ南東部の地方史および同地域で近年まで影響力を保持したナクシュバンディー教団の有力者に関する文献等を購入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に現地調査と資料収集を行った。ヒザン地方での調査はおおむね順調に遂行したが、当地で予定されていた発表が諸般の事情により延期となった。しかしながら、現地調査に加えて、二度の資料収集を行うことができたため、着実に研究を進展させたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度も継続して現地調査を実施するほか、文書館や図書館等で資料収集を行う予定である。また、収集した資料の読解と分析を進める。
|