2013 Fiscal Year Research-status Report
出土文字資料と現地調査による河西回廊オアシス地域の歴史的構造の研究
Project/Area Number |
25370831
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂尻 彰宏 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (30512933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 出土文字資料 / 現地調査 / 河西回廊 / 祁連山脈 / オアシス地域 / 敦煌 / 遺跡調査 / 非漢語文献 |
Research Abstract |
25年度は研究開始の年度であり、海外の出土文字資料所蔵機関における文献調査と現地調査にむけた予備調査とを行った。 まず、文献調査としては、ロシア科学アカデミー東方文献研究所での調査を行った。当該調査は連携研究者である佐藤貴保が担当し、西夏文字・西夏語の非漢語文献を中心に原物資料の分析を行った。とりわけ、判読が困難な草書体の文献の解読を進め、その史料としての使用にむけて大きな収穫があった。 また、現地調査にむけた予備調査としては、敦煌での調査を行った。本研究では、26年度に中国・甘粛省・河西回廊オアシス地域での現地調査を予定している。連携研究者を含む調査隊を編制し、祁連山脈方面の山地や砂漠に点在する遺跡等を確実に調査するためには、予備調査や現地の諸機関との事前の交渉が不可欠である。そこで、研究代表者が蘭州大学や敦煌研究院の関係者と26年度の調査にむけたの交渉を行い、あわせて敦煌周辺や瓜州県周辺の遺跡等の予備的な調査を行った。その結果、26年度の調査に向けた準備を整える上で重要な情報を多く得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究予定事項はヨーロッパの所蔵機関(英国・ロンドン・大英図書館、フランス・パリ・フランス国立図書館、ロシア・サンクトペテルブルク・東方文献研究所など)にて出土文字資料の原物調査を行うことを主とするものであったが、所蔵機関側の事情により十分な調査を行うことが困難であった。まず、大英図書館は敦煌文献などの資料の保存・整理システムの改変作業のため長期間資料が使用できない状態にあった。また、フランス国立図書館は資料の管理を担当する部門の統廃合や建物の改修工事のため、やはり長期間資料の使用が困難であった。さらに、東方文献研究所ではロシア政府による科学アカデミー改革の影響で管理体制が変化し、資料の閲覧が可能になる体制が整うのに時間がかかった。このような事情により、研究代表者と連携研究者4名のうち、ヨーロッパの所蔵機関で調査を行うことができたのは、東方文献研究所での調査を行った佐藤貴保(連携研究者)のみであり、調査の成果は上がったものの、予定からはやや遅れていると言わざるを得ない。ただ、26年度以降に調査を延期・継続する準備はすでに整えており、体制が整いしだいヨーロッパの所蔵機関での調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、現地調査と延期している文献調査の実施を行うことが主となる。中国・甘粛省・河西回廊オアシス地域の調査については、本格的な踏査に備えた予備調査をすでに25年度に行っており、こうした準備をもとに甘粛省の敦煌や張掖などのオアシス周辺の遺跡や南方の祁連山脈の山地の調査を連携研究者と協力して調査する。また、前年度に十分行えなかった文献調査を継続して行う。さらに、平成27年度の総括にむけて現地調査と文献調査との結果を体系化する作業にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に行う予定であったヨーロッパの所蔵機関における出土文字資料の原物調査が計画どおり行えなかったことが主な理由である。「現在までの達成度」で述べたように、平成25年度は所蔵機関側の事情により調査の機会に恵まれず、渡航調査用の費用を使用することができなかった。 今年度に延期したヨーロッパの所蔵機関での原物調査等を確実かつ柔軟に実施する。平成25年度に各所蔵機関側で生じていた障害のほとんどは解消しており、本年度の調査は滞りなく行える予定である。また、調査・研究の進展にともなって本研究の遂行に資する用途が別に生じた場合は柔軟に対応する。
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