2015 Fiscal Year Research-status Report
出土文字資料と現地調査による河西回廊オアシス地域の歴史的構造の研究
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25370831
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂尻 彰宏 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (30512933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 出土文字資料 / 現地調査 / 河西回廊 / オアシス地域 / 敦煌 / 歴史的構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、当初の予定どおり国際ワークショップを開催し、その成果をもとに報告書を作成し、公開した。平成27年9月26日に「出土文字資料と現地調査による河西回廊オアシス地域の歴史的構造」と題する国際ワークショップを大阪大学・豊中キャンパスで開催した。本ワークショップには中国より馮培紅氏(ワークショップ時は蘭州大学、現在は浙江大学に所属)、白玉冬氏(ワークショップ時は内蒙古大学、現在は遼寧師範大学に所属)を招聘し、本研究の構成員全員による研究報告と討論を行った。研究報告では、前年度に行った河西回廊オアシス地域での現地調査の成果を示し、出土文字資料の研究から得た知見も加えて、当該地域を歴史的に成り立たせてきた歴史的構造について、オアシス城址の分布、水利、文化交流、仏教、統治のありかたなどの角度から報告を行った。討論では、本研究の意義や個々の具体的な問題について議論を深めた。平成27年末には、このワークショプでの議論を踏まえ、代表者による河西回廊オアシス地域での追加の現地調査を行った。これにより、当該地域の歴史的構造を類型化して整理する上で、重要な要素となる霊場(仏教石窟寺院)の重要性を再確認することができた。これらのワークショップと現地調査の成果をあわせて、平成28年3月に『出土文字資料と現地調査からみた河西回廊オアシス地域の歴史的構造』と題する研究成果報告書を作成した。また、この報告書を代表者が所属する大阪大学の機関リポジトリ(OUKA)上で、無償かつ無制限に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの研究成果をまとめ、公開するための国際ワークショップを企画し、当初の予定どおり開催することができた。ワークショップでは海外からのコメンテータを交えて、活発な議論をすることができた。ワークショップ後に追加の調査も行い、報告内容を整理・発展させ、報告書の作成と公開を行うことができた。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年末の中国・甘粛省・敦煌周辺での追加調査において、代表者は本研究の遂行に不可欠な銘文資料を複数発見した。補助事業の目的をより精緻に達成するためには、当該銘文の調査研究を継続する必要があるので、石窟を管理する敦煌研究院に銘文の写真撮影と研究の許可を申請した。ただ、この手続きの完了と必要な費用の支払いは、敦煌研究院側の都合により平成28年4月以降になる見込みなので、補助事業期間の延長を行った。この銘文の研究のための手続きが終わり次第、すみやかに研究を進め、本年度中に成果を発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
平成27年末の中国・甘粛省・敦煌周辺での石窟調査において、申請者は本研究の遂行に不可欠な銘文資料を複数発見した。補助事業の目的をより精緻に達成するためには、当該銘文の調査研究を継続する必要があるので、石窟を管理する敦煌研究院に銘文の写真撮影と研究の許可を申請した。ただ、この手続きの完了と必要な費用の支払いは、敦煌研究院側の都合により平成28年4月以降になる見込みなので、そのための費用を確保するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
石窟銘文の写真の撮影や使用許可のための費用として使用する。余剰が生じた場合は、当該銘文の研究のための旅費等として使用する。
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Remarks |
研究成果報告書の大阪大学リポジトリ上のPDFデータの掲載場所。
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