2014 Fiscal Year Research-status Report
スイス盟約者団国家形成過程におけるハプスブルク家、在地貴族の役割と意義
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25370854
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 俊之 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (00303248)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハプスブルク家 / スイス盟約者団 / バーゼル / 前方オーストリア政策 / ブルゴーニュ戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
盟約者団国家スイスの形成過程において従来、敵対勢力と見なされてきたハプスブルク家や在地貴族が果たした役割を、スイス北西部のバーゼル・ラント(農村邦)を対象に考察を進めた。 ハプスブルク家のスイスにおける本拠地アールガウ地方が15世紀前半に盟約者団によって侵攻・占領されたことを受け、スイス北西部・北東部を含めた一帯においてはハプスブルク勢力の弱体化が進んだと見られている。しかし近年の諸研究や私自身の史料研究は、地域におけるハプスブルク家の役割の継続を看過できないことを明らかにしている。東方のオーストリアに拠点を有するハプスブルク家は、西方に対し早々にいわゆる「前方オーストリア政策」を展開し、現在のフランス東部のエルザス(アルザス)地方の都市エンシスハイムを西方におけるもう1つの拠点として、スイス北西部を含む周辺地域に対し、大小さまざまな紛争解決機能を発揮することにより、影響力を行使し続けたという展望を得ている。 本年度は、さらに15世紀後半のブルゴーニュ戦争にも目をむけ、フランス側との戦争がスイス盟約者団国家形成にどのような影響があったかを、ハプスブルク家との関係を考慮しつつ考察を進めようと、ブルゴーニュ地方の都市ディジョンの公文書館や市立図書館などを訪ね、史料調査に着手した。 以上の内容は、スイスの国家形成に関する通説の修正、すなわちハプスブルク家の役割と意義への過小評価に対し修正を促すという研究史上の意義を有するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の研究実績は、初年度と同様に、申請書に記載した「研究の学術的背景」、「着想に至った経緯」を土台に積み上げており、「研究期間内に明らかにしようとする事柄」の方向性からの逸脱もなく、内容もおおむねカヴァーできていると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ハプスブルク家による「前方オーストリア政策」を担った貴族の動向、スイス北西部における在地貴族の動向、バーゼル・ラントの支配権を購入した都市バーゼルの動向、ブルゴーニュ戦争の影響、これらを念頭におきながら、スイス盟約者団国家形成のあり方とハプスブルク家との関係に新しい見方を見いだすべく努める。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた史料集が入手できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入可能であれば引き続き入荷を待つ。購入不可の場合は代替の史料集ないしは研究文献を購入する。
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Research Products
(2 results)