2014 Fiscal Year Research-status Report
リキアにおける都市アイデンティティの形成と展開ー碑文習慣の展開からの考察
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25370868
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 創 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50647906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東地中海世界 / 小アジア / リキア / アイデンティティ / ローカルヒストリー / 国際研究者交流 / ギリシア / トルコ |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度もまた2013年度に引き続き、トロス遺跡発掘調査に参加して現地調査をおこなうために研究費が使われた。これに関して2014年度は土器を専門とする向井朋生氏を研究協力者として同地に派遣するためにも研究費は使われた。11月にはトロス遺跡聖堂遺構発掘調査報告会において、上述の発掘調査で得られた出土碑文についての報告をおこなった。その成果は2015年3月に発行された『史苑』75巻2号に掲載された。また、4月に在アテネ英国研究所で開催された第3回日欧コロキアムで“Transformation and Re-Creation of Memory through the Ages: Local Pride and the Rendering of the Persian Wars ―――Re-reading the Themistocles Decree from Troizen”の報告をおこなうためにも研究費が使用された。本報告の中心テーマはヘレニズム時代初期のアテナイであったが、ヘレニズム時代に古典期の記憶がアテナイ以外、とりわけリキアを含む小アジアにおいてどのように展開されていったかについて研究を展開しつつある。これに関する報告は2015年度およびそれ以後となるが、最初の関連報告を2015年6月にオクスフォード大学のEpigraphy Workshopにておこなう予定である。そのほか2014年度は種々の学会報告と学会シンポジウムでの司会、コメンテータなどをつとめる中で、ヘレニズム・ローマ時代の東地中海世界の展開についての考察・研究を深めることに注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 4回に及ぶ学会および研究会報告に加えて、3回にわたるシンポジウムの司会とコメンテータをつとめることができた。この中で、東地中海の歴史を通時的に考察する機会を得た。 (2) 国内で同様の問題関心を共有する研究者との共同研究の下地をつくりつつあり、翌年度中にそれを実現できそうになっていること。あわせて海外研究者を含めた研究会を開催できる見通しが立ったこと。 (3) 直接的にリキアをキーワードとする論文の数は多くないものの、この1年にそれなりの数の論文を公にできたこと。あわせて、次年度以降に発表する論文の準備もおおむね順調に進んでいること。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2015年度は、年度末に少数の招聘海外研究者も交えて、ワークショップを開催する計画を進めている。ギリシア史、あるいは古代東地中海の歴史を通時的に考察し、古代ギリシア史を孤立させるのではなく東地中海の「グローバル」な展開の中に位置づける試みを本科研終了後にも継続して共同研究することを可能にする素地をつくりたいと考えている。 個人的には、上記ワークショップの準備に加えて、6月にオクスフォード大学のEpigraphy Workshopで"Barbaroi in Attic Inscriptions"というタイトルの報告をおこなう。アテナイにおける”異民族観”がヘレニズム時代の小アジアにどのように移植されているかについても論ずる予定である。あわせてロンドン大学で開催される国際学会Poetics of Warに参加する。そのほか、執筆中のいくつかの論文について仕上げていく。
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Causes of Carryover |
次年度末に開催予定の国際ワークショップにかかる資金を確保するために使用を押さえた。次年度使用額と次年度の配分額とを使って海外から2名程度の研究者を招聘する予定である。また国内研究者についても報告者について必要に応じて旅費の支出をする予定であり、会場費を含めてできるだけ資金を残しておくべきだと考えた。したがって昨年度の海外出張の一部は私費でおこなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際ワークショップの開催にかかる費用にあてる。大きな支出としては、海外からの招聘者にかかる旅費2名分である。ほかに会場費、国内報告者の旅費が考えられる。代表者の海外での研究成果報告にかかる費用、海外調査にかかる費用については、今年度はできる限り私費、その他の資金によっておこなうことにより、ワークショップに注力する。
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[Book] Athenaion Episkopos. Studies in honour of Harold B. Mattingly2014
Author(s)
Akiko Moroo, H.B.Mattingly, A.L.Boegehold, M.Chambers, P.J.Rhodes, G.Kavvadias, G.E.Malouchou, A.Moroo, B.Paarmann, A.P.Matthaiou, G.Marginesu, A.A.Themos, A.Makres, M.Sakurai, N.Papazarkadas, D.Sourias, S.V.Tracy, J.Davies, A.C.Scafuro, K.Clinton, G.Davis
Total Pages
347
Publisher
Greek Epigraphic Society, Athens