2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
清家 章 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (40303995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 穣 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30280712)
安部 みき子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80212554)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 海浜部 / 人骨 / 墳墓 |
Research Abstract |
本研究は海浜部にある古墳時代墳墓について考古学・人類学・環境考古学という多面的アプローチによって研究を行うものである。 研究分担者・研究協力者と研究打ち合わせを大阪市立大学にて行い、研究方針を討議した。その中で和歌山県古墳時代資料が本研究目的に合致し、研究が進んでいないことが明らかとなった。限られた予算と人的資源を活かすため、和歌山県資料を中心に研究を進めることとした。その中でもとくに和歌山県田辺市所在の磯間岩陰遺跡を中心に調査を行うこととした。磯間岩陰遺跡は、豊富な副葬品と遺存の良い人骨資料で知られ、遺跡は国史跡に出土遺物は重要文化財に指定されている一方で、詳しい報告はされていない。本研究課題の基盤となる資料と判断されたので、この資料を重点的に分析することとした。 研究班全員で磯間岩陰遺跡出土資料を2度にわたって調査した。考古班は出土副葬品のうち、鉄器と骨角器を資料化を開始した。人類学班のうち、安部は磯間岩陰遺跡出土人骨の計測と鑑定を実施した。人類学班の米田は磯間岩陰遺跡を含めた和歌山県古人骨から試料を採取し、炭素窒素同位体分析を進めている。 磯間岩陰遺跡資料の数は多いので報告書という形では結実をまだしていないものの、清家は、科研費の予備調査で行った磯間岩陰遺跡の古人骨の研究成果を発表し、米田も炭素窒素同位体分析によって、磯間岩陰遺跡出土人骨の食性を明らかにしつつある。安部も人骨の計測的特長を明らかにしつつある。 2014年度も引き続き磯間岩陰遺跡の調査を続行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は考古班と人類学班の共同で調査を行うものである。考古班は岩陰・洞窟遺跡における埋葬事例について、副葬品・人骨が遺存する資料を重点的に集成することになっていた。研究打ち合わせの結果、紀伊南部の遺跡を重点的に行うことにより目的を達成できると考え、未発表資料であった磯間岩陰遺跡出土副葬品の図化を行った。2回にわたる調査で多くの副葬品を図化しつつある。当初はすでに出版された報告書の図面を基に資料収集を行う予定であったが、未発表資料の図化という予定を超えた作業を行いつつある。 人類学班では、安部が和歌山県の古人骨計測を開始し、磯間岩陰資料の計測も順調に進みつつある。米田は炭素窒素同位体分析を実施し、。西ノ庄・地の島両遺跡の古人骨資料を分析する予定であったが、和歌山県全域の古墳人骨試料を採取し、すでにその分析を終えている。 人類学班は「当初の計画以上の進展」である。考古班も計画を超えた研究を実施していおり、順調に考古資料の図化を進めている。総合的に判断しておおむね順調に進展している」との評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の軸足を和歌山県の資料においたので、引き続き和歌山県の資料を調査し分析する。考古班は、引き続き磯間岩陰遺跡の資料を図化する。資料の数が多いので、1号から3号の埋葬施設を先に行う。本年度は2~3度の調査を実施し、1号~3号までの副葬品の図化を終えたい。それと同時に報告書を渉猟し、和歌山県から海浜部墳墓資料を収集する。 人類学班においては安部は磯間岩陰遺跡出土人骨の計測を終える。米田は比較資料として、和歌山県の動物骨試料を入手し、炭素窒素同位体分析を行う。今年度前半は動物骨資料を収集し、今年度後半から分析を開始する。 調査分析は合同で行い、メール会議等を頻繁に行うことで研究班の意思疎通を図る。少なくとも年1回の研究発表を研究班の中で実施し、研究方針を確認する。 27年度には考古学・人類学班の成果をまとめた報告書を刊行する。その内容は磯間岩陰遺跡調査の概要報告を中心とし、研究代表者・分担者・協力者の論考あるいは分析を掲載する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人骨分析と動物骨分析にかかる試料の収集と分析に時間を要したため、次年度に使用する額が生じた。次年度にこれらの課題を着実にこなして経費を計画的に使用する。 これらの経費は人骨試料と動物骨試料の収集のため旅費として一部を使用しつつ、その炭素窒素同位体分析の経費として残額を使用する。
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Research Products
(5 results)