2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370888
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清家 章 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40303995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 穣 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30280712)
安部 みき子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80212554)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 岩陰遺跡 / 海浜部墳墓 / 人骨 / 骨角器 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究を実施する中で、和歌山県田辺市磯間岩陰遺跡の資料が本研究の重要な鍵となることが次第に明確となった。海浜部岩陰遺跡という立地、未盗掘の埋葬施設と異存状況の良い複数の人骨、動物骨。あるいは多数の骨角器をはじめとする副葬品があるからである。そのため、本研究の軸足を磯間岩陰遺跡出土資料に置いて研究を遂行した。 その結果、副葬品・人骨の炭素窒素同位体分析から確実にこの集団は漁撈集団であることが判明している。また、歯冠計測値法による被葬者間の親族関係分析によると、すくなくとも小石室間の被葬者に親族関係がないことが明らかとなっており、本遺跡は集落形成期に複数の親族集団が共同で営んだ墳墓遺跡ではないかと考えられた。同遺跡は5世紀後半に成立するが、全国的に同時期に集落の再編が認められる。本遺跡を営んだ集団も、こうした集落再編の動向の中で新たに集落を形成したと推定される。 特筆すべきは副葬品であり、鹿角製剣装具は直弧文が刻まれている。この剣装具は畿内政権の関与無しにありえない。このことから紀南という畿内政権から遠い漁業集落の再編にも畿内政権の関与が推測されるのである。 2015年度の活動に限定すれば、磯間岩陰遺跡の土器実測を開始し一部が終了した。また、遺跡の現状と遺物の集合写真撮影を実施した。磯間岩陰遺跡の過去の調査についても調べを進め、過去の調査図面と写真が田辺市に返却されたので、その整理方法を確認するとともに、調査者遺族ほか関係者より報告書発行の打ち合わせを行っている。
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Research Products
(6 results)