2015 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災による福島県の中心性と圏域の変容に関する地理学的研究
Project/Area Number |
25370911
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
水野 勲 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50209764)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 直子 (石黒直子) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60433231) [Withdrawn]
小田 隆史 宮城教育大学, 教育復興支援センター, 准教授 (60628551)
関根 良平 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (90333781)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 中心性 / 避難 / 圏域 / 農産物 / 福島県 |
Outline of Annual Research Achievements |
サブテーマのうち、①中心地とゲイトウェイ都市の研究、②避難行動と居住地移動の研究、③農産物の流通と風評の研究について、以下の調査・研究を行った。全体討議のテーマであった地域区分論については、次年度に持ち越しとなった。 ①では、日本の都市システムの研究と、そこで用いられた計量的方法についてレビューを行い、学会報告を行った。その結果、都市システムの研究において推測統計の記述統計的利用が重要であり、社会的関連性は「予測」ではなく「理解」においても得られるとした。第2年度に分析・報告していた、原発事故前後の都市間近接性の研究について、英文論文を引き続き執筆中である。 ②では、原発災害の避難行動について、特にフィールドワークの方法論の観点から調査を行い、国際学会での報告、共著書への分担論文を発表した。その際、当事者をどう考えるか、アウトサイダーとしての調査者の役割は何かを考察した。居住地移動の分析結果については、昨年度の全米地理学会での報告をふまえて、英文共著書への論文投稿を行った。 ③では、福島市の空間放射線量の高い地域での、放射能に関する自治体の情報発信と住民意識について調査し、学会報告と共著書への分担論文を発表した。このことにより、空間放射線量の高い地域での情報発信と「風評」の関係について考察した。 第2年度に調査・分析した研究3編について、英文論文での発表がまだなので、このために使用予定の予算を次年度に繰り越して、研究を続行することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2年度に調査・分析を行った3つの研究で、英文論文の投稿が遅れている。この論文執筆の過程で方法論の問題が焦点となり、計量的方法やフィールドワークの批判的検討、情報発信の分析方法の開発などを、第3年度に補足することとなった。これらの方法論の検討については、学会報告や論文執筆が行えたが、実証研究がいったんストップしていたため、当初のサブテーマの実施には、やや遅れを取ったといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を1年延長したことにより、最終年度には、第2年度に行ったそれぞれのテーマでの調査・研究の英文での成果発表、さらには、その補足調査を行っていきたい。そして、共同研究の全体討議テーマであった地域区分論について、メンバー間で議論していきたい。
|
Causes of Carryover |
福島県内の放射能汚染地帯の調査を行うために、調査方法や調査協力機関との調整を慎重に行う必要があり、そのための情報収集と予察的な学会報告を先に行っていたため、調査旅費・調査費を使用しなかったことによる。また学会報告、学会参加が、東京と仙台という、いずれも旅費を必要としない会場だったことも、出張旅費の未使用となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に、メンバー個別の調査と3名の共同調査を行う予定でいるため、この際に調査旅費・謝金・史料印刷代等で多くの費用がかかる見込みである。また、英文論文の校閲料なども、見込んでいる。
|
Research Products
(4 results)